昨秋の再戦は國學院大に軍配。仙台大は7投手つぎ込むも神宮初白星ならず



代打・立花 祥希(1年=横浜)の2ラン本塁打でリードを広げた國學院大

<第53回明治神宮野球大会:國學院大6-2仙台大>◇19日◇大学の部・準々決勝◇神宮>

 仙台大(東北三)と國學院大(東都)は、昨年に続き初戦で対戦。昨年は終盤に試合をひっくり返した國學院大が、今年は終始試合の主導権を握り、6対2で快勝した。仙台大は計7投手をつぎこみ、来秋のドラフト候補・辻本 倫太郞内野手(3年=北海)が本塁打を放つなど見せ場をつくったが、神宮初勝利を手にすることはできなかった。

 仙台大の先発マウンドを託されたのは、エース長久保 滉成投手(4年=弘前学院聖愛)。リーグ戦同様、抜群の制球力を披露し、5回まで3安打無四球1失点と好投を続けた。しかし同点の6回、1死から連打を浴び降板。一、三塁と苦しい場面で、同学年の佐藤 亜蓮投手(4年=由利工)にバトンを渡した。

 遡ること約3週間前。明治神宮大会出場を決めた東北地区代表決定戦決勝の試合後、佐藤は長久保の胸に顔をうずめ、涙を流していた。この試合では長久保が4回に満塁本塁打を浴び降板するも、中盤に打線がつながり逆転。7回にピンチを迎えたが、前日先発し8回無失点だった佐藤の好救援でしのぐと、佐藤はそのまま最後まで投げきり試合を締めくくった。「1年生の頃から長久保が投手陣を引っ張ってくれて、自分もその背中を追って4年間頑張ることができた。自分がここまでの投手になれたのは、長久保が先頭を走ってくれていたおかげ」(佐藤)。この試合では長久保を助けるかたちとなったが、4年分の感謝の思いが溢れ出た。

 大学最後の大舞台でも、長久保の後を受けマウンドに上がった。ベンチからは長久保が祈るように佐藤の投球を見つめ、懸命に声援を送った。しかし思いは届かず、2者連続四球で1点を勝ち越されたところで降板。後続も打たれ、この回、國學院大に3点が入った。最後に2人で勝利を呼び寄せることはできなかったが、長久保は「ずっと2人でやってきた。(佐藤は)信頼できるピッチャーです」ときっぱり。主力選手の少ない4年生の中心を担ってきた2人は、次なるステージでも良きライバルであり続ける。

 佐藤の後は須崎 雄大投手(3年=東海大市原望洋)、武者 倫太郎投手(2年=帝京)、渡邉 一生投手(1年=日本航空/BBCスカイホークス)、樫本 旺亮投手(1年=淡路三原)、ジャクソン 海投手(3年=エピングボーイズ)と個性溢れる3年生以下の投手が続々と登板。強豪校から通信制高校に転校し、クラブチームを経て進学した渡邉や、オーストラリアから海を渡ったジャクソンら、プロを目指し異色の経歴を歩む選手も全国デビューを果たした。コンディション不良で今大会はメンバーを外れた川和田 悠太投手(3年=八千代松陰)らを含め、投手陣は来年以降も楽しみだ。

 打線は、2回に主将・小笠原 悠介内野手(4年=北海道栄)が一時同点の適時三塁打を放ちチームを活気づけた。また昨年に続き「3番・遊撃」でフル出場した辻本は本塁打を含む2安打3出塁。國學院大の豊富な投手陣に屈し、追いつくことはできなかったが、意地は見せた。辻本は「日本一を目指しているからには、日本一を獲らないと意味がない。『経験』で終わらせたくはない」とラストイヤーを見据えていた。

 2年連続で初戦を突破した國學院大は投打がかみ合い、2番手で好投した坂口 翔颯投手(2年=報徳学園)、8回に貴重な代打2ランを放った立花 祥希捕手(1年=横浜高)ら、秋リーグでは出場機会に恵まれなかった選手も結果を残した。激戦の東都を制した実力はやはり本物。初の日本一まで、あと2勝だ。鳥山 泰孝監督は「(準決勝の相手は)どちらにしろ投手力の高いチーム。緊張感を持って準備したい」と力を込めた。

(取材=川浪 康太郎)

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