大阪桐蔭 中盤の猛攻で逆転!志願登板の前田の力投で史上初の大会連覇



2大会連続で胴上げ投手となった大阪桐蔭・前田悠伍

<第53回明治神宮野球大会:大阪桐蔭6-5広陵>◇24日◇高校の部・決勝◇神宮

 昨年の決勝戦と同カード。大会史上初の2年連続優勝を目指す大阪桐蔭(近畿・大阪)か、昨年のリベンジを果たし、初優勝を目指す広陵(中国・広島)か。雨で1日延びた注目の一戦は、風はやや強いものの、雲一つない快晴の中で行われた。

 広陵の先発、左腕の倉重 聡投手(2年)は、大阪桐蔭の打者一巡目は1人の走者も出さない快調な立ち上がりを見せた。とりわけ、内角をうまく突いての投球は、見応えがあった。

 大阪桐蔭はエースの前田 悠伍投手(2年)が準決勝で161球投げているため、背番号10の南 恒誠投手(2年)が先発した。南恒は、1回裏は無失点で抑えたものの、3四死球で満塁のピンチを招き、1回だけで40球を投げるという不安な立ち上がり。2回裏も状況は変わらず、1安打、2四球で満塁のピンチを招く。ここで広陵の2番・谷本 颯太内野手(2年)は、一ゴロ。打球処理を焦った一塁手の八瀬山 大悟内野手(2年)が捕りそこなって広陵が1点を先制する。続く真鍋 慧内野手(2年)の三ゴロを、今度は三塁手のラマル・ギービン・ラタヤナケ内野手(1年)がエラー。大阪桐蔭としては珍しい連続エラーで2点を失う。4番・小林 隼翔内野手(2年)の左前安打でさらに1点を追加した。

 大阪桐蔭は3回からは背番号16の1年生・南 陽人投手が登板。南陽はテンポよく力のあるためを投げて3回を三者三振で終える。これで大阪桐蔭に流れが行ったかと思われたが、4回裏、広陵は1死一塁から、3番・真鍋が打った瞬間に本塁打と分かる1発を左スタンドに放ち、2点を追加した。

 普通のチームであれば5点差なら安全圏に入ったといえるが、大阪桐蔭はそうはいかない。1つのプレーで流れが変わる。5回表、大阪桐蔭は、この回先頭の6番・長澤 元外野手(2年)がレフトに大きな飛球。これを左翼手の佐々木 駿外野手(2年)が完全に打球を見失い、三塁打となった。神宮球場は太陽光の関係で外野は守りにくい。それでも三塁打となったのは左翼手のミスでもあるが、広陵の中井哲之監督は、「あれも野球。こういうこともある」と語り、左翼手の佐々木について、「一生懸命頑張って、スタメンを勝ち取った子です。攻める選手は1人もいません」と、語る。

 それでも、ここから大阪桐蔭の猛攻が始まる。まず7番・八瀬山は左犠飛で1点。8番・村本 勇海内野手(2年)の二塁打、9番の代打・佐藤 夢樹内野手(2年)の死球に続き、2番・山田 太成外野手(2年)の二塁打、3番・德丸 快晴外野手(1年)の左前安打、4番・南川 幸輝捕手(2年)の左前安打でそれぞれ1点ずつ入り、1点差。5番・ラマルが四球で満塁になる。ここで広陵は倉重から髙尾 響投手(1年)に投手を交代する。そして打順が一巡して6番・長澤が四球で押し出しになり、大阪桐蔭があっという間に同点に追いついた。エース・倉重の交代のタイミングについて広陵の中井監督は、「もう少し頑張ってほしいという思いがあり、引っ張りすぎました」と語る。ただ交代を考えるタイミングを与えないほどの大阪桐蔭の一気の攻めであった。

 6回表の大阪桐蔭は、左前安打の8番・村本が犠打と内野ゴロで三塁に進み、2番・山田は三塁線近くにボテボテの打球。投手の髙尾が打球を処理しようとしたが、人工芝で滑って内野安打になった。当たりが弱かったのでどちらにしても内野安打になったと思うが、本来は三塁手がダッシュして捕球すべき打球だったと思う。これで村木が生還し、貴重な決勝点になる。

 大阪桐蔭は主将でエースの前田が自らの意志でブルペンに行き投球練習をしていた。「自分が投げて流れを変えたいという気持ちでした」と語る。

 6回裏からは前田が登板。前田は4回を投げて3安打7奪三振無失点。9回裏は2死一、二塁と広陵が一打同点のチャンスをつかむが、9番・松下 水音内野手(2年)の左中間への鋭い打球を、左翼手・山田が好捕して、大阪桐蔭が連覇を果たした。

 前田の登板について、大阪桐蔭の西谷浩一監督は「昨日1日空いたのは大きいです。昨日試合をやっていたら、投げさせるべきではないと思っています」と語る。雨天順延がもたらした前田の力投でもあった。「今日は負け試合でした」と西谷監督が語る劣勢の展開であったが、それを跳ね返す大阪桐蔭の底力。来年の高校球界も大阪桐蔭が中心になることを感じさせる、この大会の戦いぶりであった。

 広陵は、大阪桐蔭と好ゲームを展開したが、中井監督は「選手はよく頑張りましたが、相手が強かった。2年連続で決勝に行けて感謝していますが、悔しいです」と語る。この悔しさが広陵をさらに強くするに違いない。

 2022年の高校野球の公式戦は全て終わった。もうコロナ禍は今年で終わってほしいものだ。高校野球の日常の姿にかなり戻った1年であったが、来年はさらに進んでほしい。野球に集中できる状況で、大阪桐蔭を軸にした充実した戦いを期待したい。

(取材=大島 裕史)

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