破壊力は歴代No.1。聖光学院がまたも強豪撃破で堂々の8強



山浅龍之介(聖光学院)

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夏の甲子園の勝ち上がり

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:聖光学院8-1敦賀気比>◇16日◇3回戦◇甲子園

 聖光学院(福島)が5回までに8点を奪い、大勢を決めた。2001年夏の甲子園大会に初出場して以来、同校のすべての代のチームを甲子園球場で見てきたが、打線の破壊力に関しては歴代ナンバーワンと言っていいと思う。1番赤堀 颯内野手、3番安田 淳平外野手、5番山浅 龍之介捕手の3年生に、2番髙中一樹内野手、4番三好 元気外野手の2年生は「ドラフト候補」の名に恥じない強打の持ち主で、5人がこの日に放ったヒット数はチーム総数の14本中、10本だった。

 1回表はヒットで出塁した赤堀を髙中がバントで送り、安田が右中間を深々と破る二塁打で先制点を挙げ、同点に追いつかれた3回表は中前安打で出塁した髙中を一塁に置いて安田が2ランホームランを放ち、さらに左前安打で出塁した三好を6番狩野 泰輝外野手(3年)の三塁打で返し、5回表には2死一、二塁から赤堀が塁上の2人をかえす三塁打を放って敦賀気比(福井)を突き放した。

〝ドラフト候補″5人に共通するのがフルスイングの迫力である。特に目を引いたのは安田が放った3回表のホームラン。1死一塁の場面で上加世田 頼希(3年)のスライダーを右翼席に放り込むのだが、このときの甲子園球場は右から左へ、いわゆる強い浜風が吹いていた。それをものともしない完璧な打球だった。

 守りでは山浅捕手の強肩が注目度ナンバーワンだ。1回裏、相手校の敦賀気比は無死一、三塁のチャンスを迎えていた。敦賀気比は2015年のセンバツ大会優勝以来、全国的な強豪に数えられ、本大会でも1回戦で高岡商(富山)を13対3、2回戦で市立船橋(千葉)を8対6で退けている。もしこの場面で1点でも返されていたら、これまでの甲子園大会の実績で劣る聖光学院敦賀気比の圧力にじりじり押されていたかもしれない。それを救ったのが山浅の強肩である。ちなみに、三塁走者の濵野が二塁打を放ったときの二塁到達タイムは7.95秒、一塁走者の河合陽一がエラーで出塁したときの一塁到達タイムは3.91秒。この2人が塁上にいる場面で一塁走者が二盗を仕掛けてきたら捕手は二塁に送球しづらい。1死後、河合が盗塁を試み、山浅の二塁送球が少しだけ遅れたように見えたのは三塁走者の存在を気に留めたからだろう。それでもその送球を今度は佐山 未来投手(3年)がカットするような動きを見せた。三塁走者の存在を気に留めたからだろう。しかし、そういう思惑を一切振り払うような勢いで送球は二塁ベース上に達し、完璧なタイミングで一塁走者の足を封じた。その後、上加世田も中飛に倒れ、無死一、三塁のピンチは回避されたのだ。くどいようだが、このときに1、2点取られていたら結果は違っていたかもしれない。

 先発した佐山のピッチングにも触れたい。直球の最速は、どの試合でも140キロ程度で速さはない。球種は120キロ台で大きく横に変化するスライダーと、90キロ台のスローカーブがあり、それらを交えた緩急の攻めが持ち味だが、攻略を難しくさせたのは内角攻めがあったからだ。外に逃げていくスライダーが勝負球になる右打者には、踏み込みを封じるためにも内角攻めが重要になり、左打者には球の出どころが見えやすい佐山のスリークォーターの投球フォームが、見えやすいがゆえに脅威になるよう内角を攻める必要があった。それらの思いが果たされ、佐山は7回を1失点に抑えた。私が見た中では最高のピッチングである。準々決勝の九州学院(熊本)には國學院栃木(栃木)戦で先制の適時打を放った村上 慶太内野手(3年)がいる。佐山はこの難敵をどのように抑えるのだろう。

(記事=小関 順二