大会第1、2号の大暴れ 脅威の2番・土屋 奏人の脱力打法で通算35本到達
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<第104回全国高校野球選手権大会:鶴岡東12-7盈進>◇7日◇1回戦◇甲子園
3年ぶり出場の鶴岡東(山形)と、48年ぶりの盈進(広島)の一戦は、両チーム合わせて25安打の激しい乱打戦の末に、鶴岡東が12対7で勝利した。
山形大会でチーム打率.411を誇った鶴岡東相手に、盈進がどれだけ食らいついて終盤勝負に持ち込めるか。逆に鶴岡東は早めに盈進からリードを奪って主導権を握りたいところだったが、結果は最後まで流れがつかめない試合展開。結果的に7回の2点が効果的となり、鶴岡東が勝利にぐっと近づいた。
「入った瞬間を見ていなかったので、審判のジャッジを見て初めてわかりました」
この試合2発を放った鶴岡東2番・土屋 奏人捕手(3年)は、高校通算35本目となる7回の2発目は無我夢中だった。2回に放った今大会第1号ホームランに続いての一発にも「ダイヤモンドをまわっていた時のことをあまり覚えていないです」と振り返っただけだった。
山形大会では羽黒戦でホームランを放った。地方大会ではチームで唯一、本塁打をマークしているスラッガーは2番に座る。佐藤監督は「本人と話して春の県大会が終わってから2番にした」という。土屋は「2番だと後ろにもいい選手がいるので、『自分が打てなくても後ろが返してくれる』と思ってリラックスできるんです」とゆとりが持てることが、好調を生んでいるようだ。
技術面では、脱力してスイングできることが結果に結びついているのではないか。
特に7回のホームランは、本人も「リラックスして打席に入れたからだと思います」と分析している。自然体でバットをゆったりと揺らしながら打席に立っている。非常にリラックスできているのが印象深い。
さらに間もある。
投手が足を上げ切ったタイミングで、右膝を少し曲げて、股関節にタメを作って、トップを固めている。立ち遅れることなく、しっかりと間を作れているため、見極めがしっかりできる打ち方になっている。チーム唯一のホームランだけではなく、山形大会でチームトップの打率.571を残したのも頷ける。
不幸中の幸いか、実は7回のホームランの前に足がつっていたそうで、万全の状態ではなかったという。そんな状態でホームランを打てたことに、佐藤監督も「びっくりしました」と話したが、逆に力が入らなかったから飛び出した一発とも考えられる。
長野から山形の鶴岡東へ。地元を離れて高校野球に打ち込み、聖地・甲子園で1試合2本塁打という最高の結果で家族に恩返しした。ホームランボールは「家族に渡したいと思います」と胸を張った。
次戦について「ヒットでもいいので、打てるように頑張りたいです」と高望みはしない。力まず、自然体で2回戦以降も土屋は快音を響かせる。
(文=田中 裕毅)