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愛工大名電に140キロ台連発のプロ注目左腕現る!

先発・有馬伽久(愛工大名電)
三重vs愛工大名電という東海大会のような練習試合が3月16日に実現した。会場は三重高の徒歩圏内にある「梅村メモリアルフィールド」。もともと閉学となった三重中京大の野球部が使用していたグラウンドということもあり、一般球場のように広い。三重高にも専用グラウンドはあるが、やや狭く、今では練習試合は必ずこのグラウンドを使用するという。
昨秋、三重は東海大会に出場するも初戦敗退。愛工大名電は昨秋、愛知県大会3回戦で中京大中京に敗れ、早い負けになったが、全く別のチームへ成長した。
愛工大名電のエースである有馬 伽久投手(3年)は、175センチ、75キロとがっしりとした体型から投げ込む好左腕で、昨年から140キロ前後の速球を投げ込むと聞いていたが、予想以上に良くなっていた。
左スリークォーターから投げ込む直球が常時135キロ〜142キロ。チーム側のスピードガンでは、最速144キロをマークした。パワー型の直球の威力は抜群で、打者も思わずつまらされるほどの破壊力がある。センバツに出場する好左腕である大野 稼頭央投手(大島)、森下 瑠大投手(京都国際)、宮城 誇南投手(浦和学院)と比較しても負けていない投手だと断言できる。
120キロ前半のスライダーの切れ味も抜群で、着々とゲームメイクができる。倉野監督によると、普段は3〜4イニングだが、終盤まで投げることを想定し、9回2死まで投げて8安打、7奪三振の1失点に抑えた。9回でも140キロ〜142キロをマークするなど、馬力は本物。OBで今季DeNAの開幕戦を務める東 克樹投手、12年の世代を代表する左腕として騒がれた中日育成・濱田 達郎投手の高校時代と比較しても評価できる逸材だといえる。
高卒プロにいくために愛工大名電入学を決めた有馬。「目標としていたアベレージ140キロ台を投げることを意識していたので、それが出ていて嬉しい。最終的な目標はアベレージ145キロです」と強く語った。今年の高卒左腕の力量差を考えると、ドラフト候補としてマークするべき逸材である。
またワンポイントを務めた岩瀬 法樹投手(3年)は小柄ではあるが、135キロのストレートと120キロ前後のスライダーの切れもよく、かなり期待できる投手だ。
打者では、3番・伊藤 基佑内野手(3年)の打撃が光った。第1打席では左中間を破る三塁打、その後もセンターへの二塁打、中前安打と内容のある打撃が光った。インサイドアウトで振り抜くことができており、対応力が高く、遊撃手としての守備も軽快。東海地区の好遊撃手を語る上では欠かせない選手といえる。
今年は田村 俊介外野手(広島)のようなコンタクト力が高いロングヒッターや、本塁打が打てる宮崎 海外野手(横浜商科大)のような選手はいない。小技を仕掛けたり、相手投手から嫌がられる打撃ができる選手が必要となるが、その役割をこなせるのが6番二塁手で出場した市橋 昂士内野手(3年)。何度もカット打ちして、球数を投げさせることができる。第1打席は11球を投げさせ、四球で出塁。その後の3点先制につなげた貢献度は高い。粘れて、簡単にアウトにならない選手で、今後も注目していい。二塁手としての守備も軽快で、伊藤、市橋の二遊間も今後も注目だ。
大物打ちはいないとはいえ、投手力が高い三重高相手に6得点を奪ったのは、地区予選前で大きな収穫といえる。春季愛知大会名古屋地区1次予選、21日の初戦ではどんな戦いを見せるか楽しみである。