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「しぶとさ」光った大阪桐蔭、公式戦15連勝140得点は新たな伝説のスタート



歓喜の瞬間

 明治神宮大会・高校の部決勝は近畿代表地区の大阪桐蔭(大阪)と、中国地区代表の広陵(広島)の対決だった。今年夏の甲子園で4強すべて近畿勢と、近年は全国でもトップレベルを誇る近畿で圧倒的な力の差を見せつけて優勝した大阪桐蔭

 広島では準決勝で広島商に敗れ、なんとか3位で出場した中国大会で投手力を中心に勝ち上がり、決勝では県大会決勝で敗れた広島商にリベンジを果たして、明治神宮大会に出場してきた広陵。勝ち上がり方が対照的な2チームの決勝となったが、そのチームカラーを象徴するような戦いとなった。

 「王者」が最初に牙をむいた。3回だ。一死一、三塁の好機で4番丸山 一喜内野手(2年)が右前2点適時打を放つなど4点を先制した。4回には3番松尾 汐恩捕手(2年)の左翼席への3ランも飛び出した。5回表にも1点を追加して、この時点で8対0と圧勝ムード。大阪桐蔭の強さばかりが神宮で目立っていた。

 しかし5回裏から、がらりと空気が変わる。広陵が内野安打2本を含む単打での4連打を含め6本の安打を浴びせて一気に5点を奪って見せた。8点あったビハインドを打者一巡の猛攻で一気に3点差まで詰め寄った。ここまで粘り強く、這い上がってきたチームらしく、諦めない姿勢に神宮のファンも広陵の反撃に歓声を挙げていた。

 大阪桐蔭はそれでも慌てず、自分たちの野球を貫いた。6回は相手のミス、7回は松尾のこの日2本目のアーチ、9回は連続四球からのタイムリーで得点を重ねるなど、貪欲に得点を積み上げた。11対7。広陵の素晴らしい粘りも、大阪桐蔭がねじ伏せ、優勝を収めた。

 大阪桐蔭は明治神宮大会初優勝だった。2度の春夏連覇を経験する強豪が、初めてこのタイトルを獲得し、史上8校目の「四大大会制覇」を成し遂げた。西谷浩一監督は「OBが頑張ってもとれないタイトルでしたが、しっかり乗り越えてくれたことはうれしく思います」とナインを称えた。

 今年のテーマは「しぶとい野球」だという。タレントそろいではないと言いながら、結果は圧倒的な力を見せつけて勝ち上がってきた。それでも「しぶとさ」は忘れない。その姿勢が広陵に詰め寄られても、コツコツと着実に突き放す試合運びを見せたあたり、まさに「しぶとい野球」を実践した証拠だろう。

 危ない試合がなかったというイメージだが、淡泊さがないチームだからこそ、謙虚にチームの総力を結集して得点を重ねたともいえる。

 今秋の大阪府大会初戦から、近畿大会、明治神宮大会と続けてきた連勝を15に伸ばした。1点差勝利は1試合、2点差勝利も1試合とほとんど快勝。この2試合は大阪府大会だったので、近畿、明治神宮では接戦すらなかった。

 「しぶとさ」をテーマに積み重ねてきた得点も140得点を数えた。かつて、松坂 大輔投手(元西武)を擁し1997年秋から1998年夏まで、公式戦44連勝を収めた横浜(神奈川)も、秋の神奈川大会初戦から15連勝で明治神宮大会を制した。大阪桐蔭はこの記録を狙えるスタートに立った。

 敗れながらも広陵はすべてを出し切った。エースの森山 陽一朗投手(2年)をはじめ3投手をつぎ込んだ。失点されたが、粘り強く投げていた。広島3位でスタートしながら、ナインは戦いながら勝つことで自信をつけ、失敗しながらも成長してきた。

 3番内海 優太外野手(2年)、4番真鍋 慧内野手(1年)の左打者は全国レベルのスラッガーであることを証明した。一冬越えたナインたちがたくましくなって、来年春のセンバツで活躍する姿が見たい。

(記事=編集部)