正直、こうした形で「高校で野球をやりたい」と思っている中学生が、実際に生でその試合を見られる環境、そして、そんな中で思いを馳せられる状況を提供していくことが、野球のすそ野拡大にもつながっていく。

「高校野球ってすごいな、いいな、ボクもやりたい」と思わせてあげられる環境を少しでも多く広げていくことも、これからの高校野球指導者たちの大事な役割ではないかという気もしている。そういう意味では、可能な限りで、こうして足の運びやすい公共球場で試合を組んで、それを広く知らせていってあげるということも大事な作業ではないかと思っている。

 特に、去年来の新型コロナの影響で、高校に入学したものの、部活動の参加にいささか二の足を踏んでいる生徒も多くいるということも耳にした。そういう生徒たちにも、学校生活の大事な要素として部活動があるということは伝えてあげたいと思うし、高校時代に経験していくスポーツが、その人間のスポーツとの関わり方にも影響していくと思う。もっと言えば、その生き方そのものにも影響を与えていきかねないとも言えるのではないかとも思っている。だからこそ、高校時代にどんな指導者に巡り合えて、そのスポーツを継続していけるのかということは、とてつもなく大事なことだとも思っている。

 そういう意味では、この日の両校の取り組みは、普通の公立高校という立ち位置の中で、積極的に野球という部活動の良さを示しているということでも、意味があったと思っている。

 試合前、川口市立の鈴木久幹監督は、「いくつかミスも出るでしょうし、みっともない形になるかもしれませんけれども、よろしくお願いします」と言っていたが、とにかく可能な限り実戦という場を経験させていってあげたいという思いは大きかったようだ。