無失点&サヨナラ打。144キロ右腕・花田侑樹(広島新庄)は大会屈指右腕へ急浮上!



花田 侑樹

 初めての選抜となった上田西と2年連続3度目の選抜出場となった広島新庄。この試合も熾烈な投手戦という様相になり、今大会4度目となる延長戦の末に広島新庄が勝利を掴む結果になった。

 広島新庄はエース・花田 侑樹が8回途中まで好投すると、そこからは2番手・秋山 恭平がリリーフ。一方の上田西はエース・山口 謙作が初回から投げ続け、息詰まる投手戦が繰り広げられたが、延長12回に突然崩れた。

 二死からヒットで出塁した広島新庄3番・瀬尾 秀太を一塁に置いたところで、「内側のボールを待っていた」という4番・花田が強振した打球がライトの頭上を越え、一塁にいた瀬尾が激走して生還。タイブレークまであとアウト1つと言うところで、広島新庄がサヨナラで2回戦進出を決めた。

 上田西の先発・山口は球速こそ130キロ台でも、大きく曲がる緩い変化球を使った緩急つけた投球は広島新庄打線からアウトの山を築いた。だからこそ最後の失投は悔やまれるが、山口以上に広島新庄・花田の投球は光っていた。

 140キロを超えてくる真っすぐを軸に初回から相手打者を力で封じ込めたが、「調子が良かった」と花田、そして指揮官・宇多村監督も称賛する。そこに加えて、鋭く変化するスライダーも効果的に混ぜて的を絞らせない花田。

 この2つを使うことについては「花田君は真っすぐとスライダーを使うイメージがあったので、イメージ通りだった」と上田西の1番・笹原 操希は話すが、その2つの中間ともいえる130キロ台で変化するカットボールが上田西打線にとって、もっとも驚異になっていたと考えられる。

 特に中盤以降は「真っすぐの球威が落ちてきたので、増やしました」と花田の中盤以降の投球を支え、好投に繋げた。真っすぐに近い球速と軌道から沈むことで、低めで空振りを奪うシーンが何度か見られた。

 花田の中では球数を抑えるためのボールだが、真っすぐに近い軌道から落とすこと。さらに真っすぐと同じフォームで、真っすぐを投げる時以上に腕を振って投げることを意識することで、相手を翻弄している。

 カットボールを多投する投手はそう多くない。花田のピッチングは数少ないスタイルだが、今回に限らず練習試合でも多投するケースがあるそうで、1つの武器になっている。最速144キロを誇る剛速球だけではない投球術を持つ花田。2回戦の強打・智辯学園にどのようなパフォーマンスを見せるのか楽しみだ。

(取材=編集部)