両チームのプロ注目選手、そしてキャッチャーの活躍光る好ゲーム



中森俊介(明石商)※写真=共同通信社

才能だけではない。スラッガー・来田 涼斗(明石商)の活躍を支える徹底とした事前分析

 初戦屈指の好カードとして話題を集め、甲子園球場に4万4000人の大観衆が押し寄せた。4対3というスコアを見れば、その話題に負けない熱戦が繰り広げられたことがわかる。プロ注目の選手が両校には複数人いた。花咲徳栄韮沢 雄也(3年・遊撃手)、井上 朋也(2年・右翼手)、明石商中森 俊介(2年・投手)、来田 涼斗(2年・中堅手)の各2人だ。

 花咲徳栄の韮澤は4回表の先制点に貢献するレフト前ヒット、井上はやはり4回にライト前ヒットを放ち、明石商の中森は9回を投げ切り、6安打、3失点の好投を演じ、来田は5回にレフト前ヒット、7回に左中間を破る二塁打を放ち、その2安打がともに得点に結びついているので殊勲者と言っていいだろう。

 中森のピッチングについていえば、あまり出来はよくなかった。ストレートの最速は147キロを計測し、変化球は115キロくらいのカーブ、120キロ台前半で横に変化するスライダー、130キロ台のカットボール、120キロ台のチェンジアップを備えているが、投球フォームに不満が残った。

 テークバックバック時に「どっこいしょ」と息をつくような間(ま)があり、これが投球の流れを妨げているように見えた。さらに左肩の早い開きがあり、左肩上りも物足りなかった。それでも強豪の花咲徳栄打線に3点しか許していない。一塁のカバーリングの早さやバント処理のときのフィールディングの軽快さなど、センバツの舞台でも投げている経験が最後はモノをいった。

 両校のキャッチャーの活躍も目立った。花咲徳栄菅原 謙伸(3年)はイニング間の二塁送球で1.90~1.95秒を計測し、明石商に許した盗塁は1つだけ。7回には同点に追いつくソロホームランを放ち、追いつ追われつのシーソーゲームを演出した。一方の水上 桂(3年)も0対1の5回裏にセンター越えの逆転2ランホームランを放ち、4対3とリードした8回表には2死一塁の場面で仕掛けてきた井上 朋也の二盗を1.98秒の強肩で防いでいる。水上はそれまでのイニング間の二塁送球でも強肩を見せていたので井上はよく走ったなと思ったが、それだけ勝負をかけた走塁だったのだろう。それを防いだ水上の強肩はこの試合の重要な勝負の分かれ目だった。

 ストップウォッチのタイムなら3対3で迎えた7回裏に来田が放った二塁打も紹介しなくてはならない。そのときの二塁到達タイムは7.81秒。次打者、水上がバントした打球を投手が一塁に悪送球し一、三塁の局面を迎え、3番重宮凉(3年)がノーステップ気味のコンパクトなバッティングでライト前に運び、来田を迎え入れた。来田は1、2打席の内野ゴロのときも4.11、4.08秒で一塁まで走っているので、走る準備はできていたということだろう。