「外れ1位クラス」と評価される鈴木寛人を打ち崩す履正社打線の破壊力



履正社打線に挑んだ鈴木寛人

 結果だけ見れば霞ヶ浦の先発、鈴木 寛人(3年)は2回3分の1を投げ、失点7(自責点5)でマウンドを降りたので評価が高いのはおかしいが。私はドラフト1位級のピッチャーだと思った。ともにベテランのスカウトに聞くと、西日本のスカウトは「外れ1位」といきなり断言した。茨城大会の決勝ではストレートの球速が142、3キロ止まりで首を傾げたらしいが、この日のストレートの最速は148キロを計測し、スライダー、フォークボールも腕がよく振れ、キレも鋭かった。ちなみに、東日本のスカウトはステップが淡白で、打者がタイミングを合わせやすいと言っていた。と言っても、ボールの力は認めている口ぶりだった。

 一部でも目利きのスカウトが「外れ1位クラス」と評価する鈴木が1回に2本のホームランを打たれ2点、2回に2安打とエラーが絡み2点、3回にホームランを含む3本の長短打を連ねられて3点を失い降板してしまった。これは鈴木に原因を求めるより、履正社のバッティングを評価したほうがいいと思う。

 2本のホームランを放った1番桃谷 惟吹(3年)は始動とステップを急がず、慌てず、しっかりタイミングを合わせることに専念していた。また井上 広大(3年)は1回表、捕手寄りのミートポイントでスライダーを捉え、強引に押し込んでレフトスタンドの最前列に放り込んだ。昔、取材した大島康徳氏(元中日など)は真芯で捉えた特大のホームランより、差し込まれた状態から押し込んで最前列に押し込んだホームランのほうが満足感はあると話してくれたが、その話をつい思い出した。

 ちなみに、鈴木を「外れ1位候補」と評価したスカウト氏は井上を「木製バットだったら3本くらい折っちゃったね」と笑い、東日本のスカウト氏は「いいパワーしている」と評価していた。

 鈴木に話を戻せば、ピッチング以外のディフェンス面で課題が見えた。たとえば塁上に走者がいるときのクイックモーションは明らかに急いでいた。第3試合に登板した星稜奥川 恭伸(3年)なら、ゆったりしたモーションに見えて走者を塁上に釘付けにできる1.1秒台をキープし、大船渡佐々木 朗希(3年)もゆったりした動きでありながらクイックタイムは1.0秒台を堅持していた。そういう投げること以外の技術も身に付けてほしい。

 履正社の先発、清水 大成(3年)は不思議なピッチャーだ。左腕からこの日のストレートの最速は142キロだから平凡である。それでも腕を振ってからボールが出てくるまでに間(ま)がある。このタイプは下半身主導のフォームであるはずなのだが。清水はステップしてからすぐ腕を振っていく。つまり上半身主導のピッチングである。そういう弱みがありながら実際には腕を振ってもすぐボールが出てこないで、一拍遅れてからボールが出てくる。2回戦は速球派で評判の高い津田学園前 佑囲斗(3年)が相手。好投手同士の投げ合いが見ものである。

(記事=小関 順二