2019年05月04日 坊っちゃんスタジアム

富岡西vs高松商

2019年春の大会 第72回春季四国地区高等学校野球大会 準決勝
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さすらいの四国探題 寺下友徳

富岡西「クレバープレー」で初の四国大会決勝へ!



クレバーさを発揮しての逆転サヨナラ勝ちに喜ぶ富岡西の選手たち

 打線は、この日は投手でなく「3番・右翼手」でスタメンの香川 卓摩(3年・165センチ62キロ・左投左打・東かがわリトルシニア出身・侍ジャパンU-18代表一次候補)が3安打1打点を放つなど9安打3得点。

 先発の中塚 公晴(3年・172センチ71キロ・右投右打・高松市立桜町中出身)も6回裏二死までノーヒットの3安打7奪三振無失点。8回表までは高松商のゲームだった。

 ただ、その半面ではこんな現象も起こっていた。富岡西浮橋 幸太(3年・投手・174センチ78キロ・右投左打・阿南市立阿南第一中出身)は「守備のリズムを作るために少ない球数で内野ゴロを取ることを狙って」8回表までの投球内容は1三振2四死球で球数わずか89球。

 一方、4四死球を与えた高松商・中塚の投球数は7回裏までに101球に到達。実はこれこそが9番・粟田 翔瑛(3年・捕手・166センチ63キロ・右投右打・阿南市立阿南第一中出身)いわく「自分たちの積み重ねたものを出す」富岡西の第1ミッションだったのである。

 はたして富岡西は8回裏「球威が明らかに落ちた」(高松商・長尾 健司監督)中塚に対し反転攻勢へと移る。粟田、2番・阿部 航一郎(3年・一塁手・178センチ70キロ・右投左打・那賀町立相生中出身)の安打で迎えた一死一・二塁から3番・坂本 賢哉(3年主将・右翼手・174センチ74キロ・阿南市立那賀川中出身)は「つなぐことを意識したらいい角度でバットが出て」右中間を破る2点三塁打で2対3。

 そして浮橋も9回表二死二塁から香川を迎えた場面で「流れを引き寄せるためにストレート勝負でいって」空振り三振を奪い取り、打線へ望みを託した。

 さらに127球を投じたことにより中塚を交代させざるをえなくなった高松商ベンチ。もう試合展開は30分ほど前とは一変していた。富岡西は2四球と失策で一死満塁とすると、2番・阿部の中犠飛でついに同点。そして直後、富岡西らしい「クレバープレー」が生まれる。

 

 念のため、三塁のタッチアップをアピールプレーする高松商。「セーフ」の判定が下されると投手はボールを受け取り、投球動作に入ろうとした。

 すると「ここは行くしかない」決意を持った二塁走者の粟田はスルスルと三塁へ。慌てて投手は三塁送球もタッチはできず。そして坂本の2球目で一塁走者・浮橋は二盗。二死二・三塁から次のボールは……ワンバウンドで後ろに逸れていく。逆転サヨナラ勝ち。

 「ボールから目を離さない」富岡西ノーサイン野球の原理原則を守り、かつアピールプレーはインプレー中でしかできない野球規則も頭に入れた栗田の「三盗」は、主将・坂本も「見るところが違う」と感嘆するビッグプレーとなった。

 かくして前日の3失策に続きこの日も4失策。小川監督も坂本も粟田も一様に「ミスが多すぎる」と反省しきりの中でもセンバツ1勝の高松商を破り春秋通じて初の決勝進出を果たした富岡西。失敗を失敗のままにしない彼らの「展開力」が、今後どのような成長につながっていくのか?ワクワクするのはきっと筆者だけではないはずだ。

(文=寺下 友徳

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