2019年03月26日 阪神甲子園球場

広陵vs八戸学院光星 2

第91回選抜高等学校野球大会 1回戦
印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

小関順二が徹底分析 ストップウォッチレポート

河野佳と後藤丈海による屈指の投手戦!勝敗分けた「スライダー命」の執念



河野 佳(広陵)※写真=共同通信

 昨日(3/25)の第3試合で山梨学院が24点を挙げた反動か、この日の3試合は「筑陽学園3-2福知山成美広陵2-0八戸学院光星東邦3-1富岡西」と接戦続きで、その中でも広陵八戸学院光星戦は屈指の投手戦だった。

 八戸学院光星の右腕、後藤 丈海はストレートの最速こそ137キロと平凡だったが、124~129キロのスピード差で横変化するスライダーのキレが一級品で、とくに外角に逃げる球筋が右打者には効果的だった。そして、その右打者が広陵のスターティングメンバーには6人いた。この日の好投の一因と言っていいだろう。

 圧巻は2回のピッチングだ。4番中村 楓大(3年)にスライダーをレフト前に持っていかれ、5番宗山 塁(2年)にもスライダーをライト前に弾き返され、6番打者に四球を与えて無死満塁のピンチを迎えた。この流れ(スライダーを打たれている)でスライダーを勝負球に使うのは難しいが、7番打者には5球のうちスライダーを3球投げて空振りの三振に切って取り、8番打者には1ボールからスライダーで二塁フライ、9番打者にはスライダー、ストレートの配球でレフトフライに打ち取った。無死満塁から迎えた3人に対し9球投じ、ストレート4球、スライダー5球という配球は「スライダー命」の執念さえ感じさせた。

 5回に2失点した場面でもスライダーがポイントだった。先頭の7番秋山 功太郎(3年)には初球のスライダーを二塁打され、1死三塁の場面では9番藤井 孝太(3年)にスライダーをレフト前に運ばれ先制点を許し、2死二塁の場面では2番中富宏紀(3年)には2ストライクからスライダーを3球続け、ライト前に達するタイムリーを喫し、勝負を決定づけられた。打たれて悔いなし、そんな思いだったのだろう。

 広陵の右腕、河野 佳(3年)は反対に、ストレートが狙われていると思ったのか、2回以降は変化球が多めになった。1回に先頭打者を空振りの三振に取ったストレートは150キロを計測したが、それでも危機管理を働かせ2回から7回まではストレート38球に対して変化球は40球に増えたのである。

 終盤の8、9回には35球のうちストレート22球、変化球13球と再び緩急が逆転した。8回表には内野陣の2つのエラーで得点圏に走者を進められながら2番島袋 翔斗(3年)、3番武岡 龍世(3年)に対して全球ストレートというピッチングを展開、得点を許さなかった。八戸学院光星の後藤同様、最後は自分の持ち味に駆けようと思ったのだろう。

 河野は身長が174センチしかないが、マウンド上の姿が小さく見えない。私には180センチくらいに見えた。上背のない選手は体を大きく見せようとオーバーアクションになりがちで、河野も左肩上りというオーバーアクションがある。それがマイナスにならず、ボールを体全体で押さえ込む役割を果たしているように見える。低めストレートが伸びるのはそのためである。

 活躍したのは両投手だけではない。3回表の1死二塁の場面では浅いフライを広陵のセンター、藤井 孝太(3年)がスライディングキャッチするとすかさず二塁に送球してダブルプレー、その裏には無死一塁の場面でバントの小飛球を八戸学院光星のキャッチャー、太山 皓仁(3年)が好捕したあと、同じように一塁に送球して、ダブルプレーに仕留めている。

(文=小関 順二

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第91回選抜高等学校野球大会 【大会別データ】

応援メッセージを投稿する

試合記事トップに戻る サイトトップに戻る