2019年03月23日 阪神甲子園球場

星稜vs履正社 2

第91回選抜高等学校野球大会 1回戦
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小関順二が徹底分析 ストップウォッチレポート

「12球団、どこでも即戦力」の奥川恭伸の好投が光った一戦



17奪三振完封の奥川恭伸(星稜)

 1回戦で「大会屈指の好カード」と予想された通り、見事な戦いになった。星稜のエース、奥川 恭伸(3年)が3安打、1四球、17三振で完封した結果だけ見れば星稜の圧勝だが、履正社各打者の振りは鋭く、17三振のうち空振りは13個もあった。とくに3番小深田 大地(2年)、4番井上 広大(3年)は始動とステップの動きが慎重で、確実にミートしようとしながら、振りは強く、フォロースルーも大きかった。いい選手に共通するスタイルを備えながら小深田は1安打、2三振、井上は0安打、2三振に倒れ、チーム全体で毎回三振を喫し、スターティングメンバーでは8番野上聖喜(3年)以外、8人が三振を記録している。

 奥川は昨年夏の甲子園、秋の明治神宮大会を見たが、夏はステップが狭く、テークバック時の体の割れが不十分で、「1、2、3」のタイミングで対応できるピッチングだった。広島の苑田聡彦スカウト統括部長は現役時代、奥川のようなタイプとの相性がよかったらしく、「俺にも打てそうだ」と笑っていた。それが今日(3月23日)は「12球団、どこでも即戦力」と言って、球場を後にした。

 ストレートの最速は1回に計測した151キロ。腕をぶんぶん振って、という投げ方ではない。楽に腕を振っているのにスピードガン表示に高い数値が表れるのである。さらに腕を振ってから1拍遅れてボールが出てくる。左肩の早い開きがない証で、始動から投げたボールがキャッチャーミットに収まるまでの投球タイムは2.01~2.12秒と昨年の夏、秋より0.2秒くらい遅くなっていた。打者の感覚で言えば、「1、2、3」のタイミングでは対応できないので間(ま)を入れなければいけないが、それは差し込まれる原因にもなるので簡単にはできない。

 また、今日の奥川は変化球がよかった。120キロ台のスライダーはストライクを取るときは横の変化を抑え、空振りを取るときは大きく曲げて右打者の外(ボールゾーン)に逃がす。また、チェンジアップとフォークボールもキレ味が鋭く、108キロくらいの大きく斜めに曲落ちるカーブも投げ、これらの変化球を自在にコントロールできていた。

 ストレートと変化球の割合は勘定していなかったのでわからないが、印象としては変化球のほうが多かったと思う。こういうピッチングは日本ハム時代のダルビッシュ 有(カブス)がたびたび演じていた。それを打者が出来上がっていない春にやられたら、いくら履正社が強力打線を擁していても対応できない。

 試合を振り返れば、1回表に星稜が1死一塁の場面で3番知田 爽汰(2年)がライト前にヒットを放ち、三進を狙う一塁走者が履正社のライト、井上のレーザービームで補殺されチャンスを逃したと思ったが、履正社の先発、清水 大成(3年)の暴投で知田が二塁に進み、5番山瀬 慎之助(3年)の遊撃手を襲う内野安打で1点を先制した。7回には知田のタイムリーで2点目を加え、9回には2番有松和輝(3年)が左中間を破る三塁打を放ち3点目を入れ、勝負を決定づけた。

(文=小関 順二

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