2018年11月12日 明治神宮野球場

札幌大谷vs筑陽学園

2018年 第49回明治神宮野球大会 準決勝
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札幌大谷・太田、8回までノーヒットノーランの好投で筑陽学園を抑え、決勝進出



8回までノーヒットノーランの好投を見せた太田流星(札幌大谷)

 この大会の2試合、札幌大谷はいずれも初回に得点し、試合を優位に進めている。この試合でも、筑陽学園の先発・西 雄大の立ち上がりを攻める。

 札幌大谷の初回得点に大きな役割を果たしているのが、2試合とも第1打席で出塁している2番の釜萢 大司だ。この試合でも、一死後、内野安打で出塁。4番・西原 健太の右前安打、さらに5番・石鳥 亮には打撃妨害があり、二死満塁。ここで6番・佐藤 颯馬が中前安打を放ち2人が還り、札幌大谷が1回表に2点を先制する。またも初回に点が入ったことについて札幌大谷の船尾隆広監督は、「選手たちも行けるぞという思いで、打っていると思います」と語る。

 しかしながら2回以降は安打などで走者を出しても、盗塁失敗や牽制死で走者を失い、そこからまた安打が出るというちぐはぐさもあって、追加点が入らない。

 5回表に、3番・飯田 柊哉の二塁打に、5番・石鳥、6番・佐藤と安打が続き、1点を追加した。しかし先発投手でもある7番・太田 流星も安打で続いたものの、さらなる追加点は奪えない。6回まで13安打を放ちながら得点は3点だけ。普通であれば、試合の流れは筑陽学園に移りそうなものだが、この日は、先発の太田の投球が素晴らしかった。そもそもこの試合太田が先発したのは、「(エースの)西原の先発を想定していると思ったので、目先を変えたかった」と、札幌大谷の船尾監督は語る。船尾監督とすれば、「5回まで持てば、御の字」という気持ちでいたが、太田は、横手投げから、テンポのいい投球で筑陽学園打線を抑える。

 「今日はスライダーやシュートがうまく投げられました」と言う太田に対し、筑陽学園の江口祐司監督は、「狙い球を絞ることができませんでした。もう少し、コントロールがアバウトかと思っていましたが、コントロールも素晴らしかったし、いざ打ちにいくと、手元で変化していました」と語る。

 太田の投球テンポがいいので、バックも守りやすい。とりわけ、二塁手の釜萢は、位置取り、打球への反応ともに素晴らしく、安打性の当たりを、アウトにする。そして気が付くと、8回が終わって筑陽学園の安打は0。スタンドがざわついてくる。

 その前に札幌大谷は8回表に釜萢、西原の適時打などで2点を追加し、勝利を確実なものにしつつあった。観客の関心は、太田のノーヒットノーランが達成できるかどうか。この大会では1974年の第5回大会の金子隆(日大山形)以来、ノーヒットノーランは出ていない。

 筑陽学園の江口監督は、「九州代表の気持ちを出さないと駄目だぞ」と、選手たちに語る。

 9回裏の筑陽学園の攻撃は2番の福島 悠介から。打順は4巡目に入っている。太田は球速があるわけではないので、徐々に慣れて来てもいいころだ。そして福島の放った右方向への打球が、右翼手の前に落ちて、初安打となると、スタンドからは「あ~」というどよめきが起きた。

 筑陽学園は、ノーヒットノーランを阻止すると、3番・弥富紘介、4番・江原 佑哉と続けて安打が出て、2点を返したものの、5対2で札幌大谷が勝ち、決勝進出を決めた。

 敗れはしたが筑陽学園は、最後に意地はみせた。8月後半から秋季大会が始まっただけに、「まさかここまで野球をするとは思いませんでした」と江口監督は語る。今後に向けては、「全ての面でタフにならないと」と語った。初出場ながら、強い印象を残してこの大会を終え、来年のセンバツを目指すことになる。

 札幌大谷の太田は、ノーヒットノーランはならなかったが、横手投げの投手がここまでの好投をしたことに意味がある。金属バット導入前は、下手投げ、横田投げの投手は多くいたが、金属バットだと当たり損ないでも安打になることもあり、球威のないこうした投手は少なくなっていった。けれども、国際大会を戦う上では、必要な人材である。この試合の太田も三振はわずか2個。それでも抑えることができた。今後さらに球威を増して、緩急の幅を広げることができればと思う。

 勝った札幌大谷、初出場ながら決勝進出を果たし、星稜と優勝を目指して戦うことになる。北海道勢の決勝進出は、田中 将大らを擁して優勝した駒大苫小牧以来、13年ぶりになる。

 

(文=大島 裕史)

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