2018年08月11日 阪神甲子園球場

報徳学園vs聖光学院

第100回全国高等学校野球選手権記念大会 二回戦
印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

小関順二が徹底分析 ストップウォッチレポート

小園海斗の 「ドラフト1位」を確信した試合


 報徳学園の1番、小園 海斗(3年)が「ドラフト1位候補」の名に恥じない活躍をした。バッティングから紹介すると、安定して打てる選手に共通する〝ゆったりとした間(ま)″をすでに持っている。早いタイミングで前足を上げ、これをしばらく滞空させてステップするタイミングを計るという形。

 バットを持つ腕の動きにも見どころがある。グリップの位置が最初耳のあたりにあり、これを肩の下まで下げてトップと言われる状態を作るのだが、グリップが耳のあたりにあるときその手がダラダラと上下動して一定しない。この「ダラダラ」という動きがミソである。似たタイプを探せば中村晃(ソフトバンク)が近いだろうか。ダラダラした動きで上半身の固さをほぐし、脱力を図っているのだとすぐわかる。

 第1打席は衛藤 慎也(3年)が投じた146キロのストレートを鋭く打ち返してレフト前ヒット、と思っていたら何と二塁を陥れ、二塁打にしてしまった。このときの二塁到達タイムが7.57秒。これは私が今年計測した中で3番目の速さだ。これで驚くのはまだ早い。第2打席ではスライダーを打ってセンターの頭を越える二塁打を放ち、このときの二塁到達が7.76秒、そして第4打席では外角への142キロを捉えて左中間を真っ二つに破る二塁打を放ち、二塁到達は7.71秒。1試合で3本の二塁打を見るのも稀だが、そのタイムが7.5~7.7秒台に集中することのほうが私には驚きだ。

 守備も凄い。走者がいないときの小園はだいたい土と芝生を分けるラインのあたりか、その後ろ、つまり芝生のあたりで守っている。聖光学院の好遊撃手、田野 孔誠(3年)の守備位置を見るとたいてい土の部分で守っている。その差は2メートルくらい。この守備位置が深い分だけ広い打球範囲に対応することができる。

 これらの走攻守を見て、小園が来るべきドラフト会議で1位指名されることをほぼ確信した。通路を行く広島の苑田聡彦・スカウト統括部長に「小園は凄いですね」と言うと、顔をくちゃくちゃにして通り過ぎて行った。もちろん、「俺もそう思うよ」というサインだと思う。

 試合展開を振り返ると、この小園が報徳学園の3得点の突破口になった。1回表は二塁打で出塁した小園を2番の村田 琉晟(3年)がバントで送り、3番長尾 亮弥(3年)のショートゴロの間に生還。3回も同様に小園が二塁打で出塁し、村田がバントで送って1死三塁とし、3番・長尾のライトへの犠牲フライで生還。2対2で迎えた8回は、やはり先頭打者の小園が二塁打で出塁後、村田がバントで送り、長尾が144キロのストレートをレフト前に弾き返して決勝の3点目を挙げるという展開。

 最も強かった1970年代の阪急ブレーブスは1番福本豊が出塁したあと盗塁で進塁、2番大熊忠義の進塁打で三塁に進み、3番加藤秀司の犠牲フライで生還という攻撃面における勝利の方程式を作り、1975~77年に日本シリーズ3連覇を達成した。この日の報徳学園の得点パターンを見て、思わず40年以上前の偉業を思い出してしまった。

 聖光学院の先発、衛藤 慎也(3年)は早い開きのない理想的な投球フォームから最速146キロのストレートを投げ込み、これにスライダーと先輩の歳内宏明(現阪神)ばりのフォークボールを交え、スキのないピッチングを展開したが、小園1人に翻弄された形になった。付け加えると、小園は投じられた18球のうちストライクを見逃したのは1球だけ。積極的に打っていくスタイルが好結果に結びついたことは言うまでもない。

(記事=文:小関 順二)

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
報徳学園、筑陽学園など…4連休で敗退が決まった有力校たち【西日本編】 【ニュース - 高校野球関連】
本日、ヤクルト・歳内vs中日・岡野の”聖光学院対決”が実現! 【ニュース - 高校野球関連】
第14回 甲子園のヒーローは指導者の道へ。近田怜王さん(報徳学園出身)にとって高校野球とは人生そのものだった vol.4【甲子園のヒーローに会いに行く】
第13回 一度は諦めた野球。母の支えと恩師の激励で掴んだ夏の聖地 近田怜王さん(報徳学園出身)vol.3【甲子園のヒーローに会いに行く】
第11回 最速137キロを計測するスーパー中学生だった近田怜王さん(報徳学園出身)の野球人生の始まり vol.1【甲子園のヒーローに会いに行く】
第1037回 真の強豪を目指す報徳学園。投打ともにタレント揃いの今年のチームの課題とは【野球部訪問】
第15回 夏13連覇中!福島の強豪・聖光学院の甲子園での戦績・卒業生の進路を紹介!【データブック】
第1142回 秋に台頭した報徳学園の核弾頭・三宅雄雅 覚醒の秘訣は「ツイスト打法」の習得 【2020年インタビュー】
第1135回 三拍子揃ったプレースタイルが武器の荒木颯太(熊本泗水ボーイズ) 小園海斗を目標に春から報徳学園へ  【2020年インタビュー】
第1118回 報徳学園のエース・坂口翔颯が目指す「圧倒」する投球。スケールと制球力を高めて夏こそ聖地へ 【2020年インタビュー】
天理vs報徳学園【2019年秋の大会 令和元年度 秋季近畿地区高等学校野球大会】
第1037回 「大学球界の名門・東洋大4番バッターが語るバッティング理論」佐藤都志也(東洋大学)【前編】 【2019年インタビュー】
第1040回 理論派のアスリート型キャッチャー・佐藤都志也(東洋大学)。1.8秒台の猛肩のコツは「キャッチング」【後編】 【2019年インタビュー】
海星vs聖光学院【第101回全国高等学校野球選手権大会】
報徳学園vs藤井学園寒川【2018年 練習試合(交流試合)・秋】
報徳学園vs英明【2018年 練習試合(交流試合)・秋】
報徳学園vs高松商【2018年 練習試合(交流試合)・秋】
聖光学院 【高校別データ】
報徳学園 【高校別データ】
第100回全国高等学校野球選手権記念大会 【大会別データ】

応援メッセージ (2)

報徳学園ファイト!みみみ 2018.08.10
甲子園の出場、おめでとうございます。㊗️
いよいよですね。
報徳学園らしい、悔いの残らない試合ができますように、心からお祈りしています。
頑張れー。
聖光学院ファイト!東北人 2018.08.04
聖光学院、まずは初戦頑張ってください。

応援メッセージを投稿する

試合記事トップに戻る サイトトップに戻る