愛媛県民の期待を背負って力投を見せた八塚凌二!サヨナラ負けも最後まで王者を追い詰める



先発・八塚凌二(済美)

 地元・済美が登場。対するは大阪桐蔭。この対決に松山坊っちゃんスタジアムは1万近くの観客がつめかけた。マウンドに立った済美のエースであり、主将の八塚 凌二は、「大きな力となりました」と感慨深い様子。この応援が八塚の背中を後押した。「相手は日本一のチーム。胸を借りるつもりで臨みました」と語る八塚の投球は掛け値なしに素晴らしいピッチングだった。

左腕のグラブを斜めに伸ばし、開きを抑え、腰はやや横回転ながらも、滑らかな体重移動から繰り出すストレートは常時135キロ~140キロのストレートを投げ込み、内外角へ投げ込む。特に内角ストレートがきいており、大阪桐蔭打線は苦労した。しかしこのストレートはあくまで見せ球。八塚の得意球である120キロ前後のスライダー、チェンジアップのコンビネーションがうまくはまった。特に打者の手元でお辞儀するように落ちるチェンジアップは大阪桐蔭打線は空振り、凡打を繰り返し、強烈な威力を発揮していた。2回裏、8番泉口 友汰、9番徳山 壮磨に適時打を許すが、3回裏は三者連続三振。これが済美ナインを勢いづけた。

4回表、二死二塁から5番吉岡 秀太朗がストレートを打ってセンターへ痛烈な適時打で、まず1点を返し、5回表には二死から9番脇田 怜和がストレートを打って右中間を破る二塁打を打つと、1番渡辺 大誠のライトオーバーの三塁打で、同点に追いつく。

 しかし5回裏、大阪桐蔭は3番中川 卓也が高めのストレートをとらえて高校通算8号となる勝ち越し本塁打。中川は秋の大阪大会3回戦後からスタンスを狭め、打球に角度をつけることを意識。4回戦の大手前戦ではサヨナラ満塁本塁打を打ったように、手ごたえをつかんでいた。だが6回表、済美はこの回からマウンドに登った大阪桐蔭の2番手・香川 麗爾に襲い掛かり、満塁のチャンスから8番矢野 功一郎がストレートをとらえライト前へ2点適時打を放ち、逆転に成功。

 この逆転により八塚は調子を上げ、8回まで3失点。「ここまで自分のピッチングはできていましたし、日本一のチームにここまで投げることができたのは自信になります」と答える八塚。しかし...。

 9回裏、1点を追う大阪桐蔭は5番の山本ダンテ武蔵が初球のスライダーを逃さず、レフト線を破る二塁打でチャンスメイク。7番加藤 大貴も右前安打を打ち、無死一、三塁。ここで打席に立ったのは坂之下 晴人。華麗さとスピーディな動きを兼ね備えた二塁守備に、守備職人というフレーズが似合う選手。坂ノ下は「とにかく犠牲フライでもいいので、同点に追いつこう」と決意して打席に入った。4球目。ストレートを見逃すことなく、振り抜いた打球は、ライトスタンドへ飛び込む逆転サヨナラ3ラン。大阪桐蔭が勝利を収めた。まさに底力を見せた大阪桐蔭が2回戦進出を決めた。

 あと一歩で勝利を逃した済美のエース・八塚は「9回裏のピッチングはまだ自分は甘いということを認識させられるイニングでした」と肩を落とした。社会人野球・伯和ビクトリーズで続けることを明かした八塚。「この済美の3年間は自分を大きく変えてくれた3年間でした。今度はレベルが高い社会人の舞台なので、日本を代表する投手を目指していきたい」と決意を新たにした。

 敗れたとはいえ、八塚のピッチング。そして最後まで堂々とした八塚の立ち居振る舞い、全身で悔しさをあらわす姿は、その後の可能性を感じさせた。この負けが八塚をさらに大きくさせてくれることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

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