東海大菅生が青森山田を投打で圧倒。大量得点のカギになった「迫力満点の走塁」



本塁打を放った小玉 佳吾(東海大菅生) ※写真=共同通信社

 今大会の特徴の1つに複数の好投手を擁する学校が多かった。「ストレートの最速140キロ超え」を目安にすると、8月18日までに大台を超えた人数は51人。これは今までで最多だと思う。また140キロ以上を擁する高校は49校中33校もあった。実に67%の高校が140キロ以上の本格派を擁しているということになる。これは近年のウエートトレーニングの成果と言っていいと思う。

 東海大菅生のエース・松本 健吾(3年)が初戦の高岡商戦で計測したストレートの最速は142キロ。そしてこの青森山田戦に先発した戸田 懐生(2年)も松本と同じ142キロを計測している。今大会のトレンド「複数の好投手」を東海大菅生も満たしていることがわかる。腕をぶんぶん振ってくる右の本格派という点では戸田も松本と同じタイプだが、戸田はさらに猛々しく体全体でボールを押し込んでくる。そしてスライダー、チェンジアップをストレートと同じ腕の振りとボディアクションで投げ込んでくるので打者は「142キロ」という数字以上に圧力を感じているはずである。

 この戸田の前に青森山田は凡打の山を築いた。1回から4回まで無安打で、出塁したのは四球1つだけという沈黙ぶり。

 それに対して東海大菅生打線は序盤から攻め込んだ。1回は1番田中 幹也(2年)が右中間に二塁打を放ち、二塁到達タイムが7.77秒という速さ。まだデータをまとめていないのが今大会トップランクのタイムであることは間違いない。2死後、4番片山 昂星(2年)がレフト方向へ二塁打して田中が生還。2回には7番牛山 千尋(3年)の二塁打、8番鹿倉 凛太朗(3年)のヒットで一、三塁のチャンスを作り、9番戸田の併殺崩れの間に牛山が生還して2点目が入った。3回には打者10人を送る猛攻撃で一挙に5点追加し、序盤で試合の行方は見えた。

 3回の得点シーンで印象的だったのは牛山が二塁打を放ったときで、打者走者の牛山も塁上の走者もライト方向の打球が二塁打と決めてしまったのかゆっくりしている。しかし、三塁ベースコーチャーだけが腕をびゅんびゅん回して、「行け、行け」と指示、それに押されてこの回4点目が入ったわけだが、野球はラインアップに名をつらねている選手だけでなく、ベンチ全員で行うものということを再認識させられた。

 東海大菅生の特徴は現在では珍しく右打線主体であるということ。スターティングメンバーに右打者が多かったのは横浜の8人が最多で、東海大菅生の7人はそれに次ぐもの。右打者は各塁到達タイムが左打者にくらべて0.2~0.3秒程度遅くなるのが普通で、私が俊足の目安にしている「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」をクリアしている人数は、たとえば横浜は0人だった。それに対してこの日の東海大菅生は3人(4回)がクリアしている。クリアしていない選手でも、しっかりバットを振って、打球を見極めてからの走塁は迫力満点だった。このチームは強い、という印象が強く残った試合だった。

(文=小関 順二

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