美来工科vs八重山
二人で6安打6打点!美来工科が打力で八重山を圧倒し決勝へ進出
古謝 僚人(美来工科)
少々古い話になるが、一人の偉大なプロ野球選手がいた。身長僅か166センチなのに打率.358で首位打者を獲得するなど、19年間の通算打率.319を残した初代ミスタースワローズ若松 勉氏がそれだ。
「美来工科の若松と呼んでいいですか?」と眞玉橋先生に聞くと「いや、僚人は若松を知らないでしょ」というふうに笑ってくれた。160センチ54キロと小柄ながら、美来工科の強力打線を牽引する斬り込み隊長、古謝 僚人の凄さを改めて知らされた試合であった。
初回、その古謝が四球を選んで出塁すると犠打で二塁へ。二死後4番山内 慧がセンター前に運んで古謝が生還した。この二人での得点シーンこそ、美来工科の必勝パターンだ。
逆転された4回表には8番平川 輝の二塁打などで二死二、三塁とチャンスを作ると古謝が打席へ。その初球、ワイルドピッチで三塁走者を迎え入れ、次の1球を柔らかいバッティングでレフト前へ運び同点とした。さらに2番神山 諒介がセカンドの脇を抜ける右中間への打球で古謝がかえり逆転に成功した。
7回には一死二塁から山内のセンター前タイムリーで加点。二死後6、7、8番の3連続安打でこのイニング3点を奪うと8回にも1点、二死二、三塁とした9回にも古謝の2点タイムリー二塁打で二ケタ得点をマークした。
古謝と並んで3安打3打点をマークした山内の二人で6安打6打点。武内や砂川、田崎など前チームの打力も高かったが、そのチームからレギュラーを張る古謝と山内、神山の新チームはそれに勝る打撃力を有することを、準決勝という舞台で示した。この世代は沖縄尚学の一強か?とも思われていたがどっこい、美来工科がそのライバルとして立ちはだかることとなりそうだ。
敗れた八重山だが、先制された2回に4番東盛 隼己の左中間への二塁打を足掛かりに1点を返すと続く3回には、東盛と並ぶ柱の川満 拓也が右中間スタンドへ放り込む2ランホームランを放つなど見事な逆転劇を見せてくれた。
残念ながらひっくり返されたが投手陣を整備すれば、この秋も計算出来る布陣だろう。昨年21世紀枠で、九州代表まで選出された偉大な先輩たちの跡を継ぐ意志を秋の県大会で見せてほしいと願う。
(文=當山 雅通)