まるでプロの投手!?と錯覚させた藤平尚真のストレート!



公家 響(横浜)

 大会屈指の速球派、藤平 尚真(3年)がストレートの威力を存分に見せた。1回先頭から2回の2人まで5連続三振を奪う好スタート。どんな球で三振を取ったかというと、1回の1番杉澤 龍が146キロストレート、2番笹沼 匠が148キロストレート、3番渡辺 法聖が132キロフォークボール、2回の4番植木 利久が145キロストレート、5番伊勢 隼が147キロストレートという内容。

 ストレートは速いだけではない。145キロの球速表示でも148キロくらいに見える。こういう錯覚はプロ野球を見ているときに感じることで、高校野球では140キロくらいに見えるストレートが145キロと表示されることがある。つまり藤平の場合は錯覚の内容が真逆なのである。

 この投球を続ければノーヒットノーランも可能、と思ったのもつかの間、3回には2安打を打たれて1失点、4回には2安打され一、三塁に走者を進められている。東北打線は藤平のクセを見抜いたかのようにストレート、スライダーを自信満々のフルスイングで振り抜いていたのが印象深い。

 球種がストレートと予測がつきストレートがくれば打者は振る。つまり振りやすい高めのボールゾーンにストレートを投げれば空振りが取れるのでは思った5回、藤平は実際にそのようなストレートを投げ、笹沼を三振に切って取った。修正能力が高いと思った。

 6回2死になったところでライトの石川 達也とポジションを替え、マウンドには左投右打の石川が立つ。これ以上ないというオーバースローから角度の効いた最速141キロのストレートが低めに構えたキャッチャーミットの中に吸い込まれるように収まり、真縦に落ちるカーブ、スライダー、チェンジアップを交えながら石川は2回3分の1を無失点で切り抜けた。

 安打数(3)がイニング数(3回3分の1)を上回るが見ていて安心できる投球内容で、横浜の2回戦以降の継投プランは相当楽になったと感じた。

 打線はテークバックの小さい左腕、渡辺のクセ球を逆方向への強打で攻略。1回は右打者の1番戸堀 敦矢(3年)がライト前、左打者の4番村田 雄大(3年)がレフト前にヒットを放ち先制、3回は右打者の3番増田 珠(2年)が右中間に三塁打、6番右打者の公家 響(3年)は持ち味のプルヒッティングを貫いてレフトスタンドに勝負を決める3ランと、まさに疾風怒濤の攻撃で東北を粉砕した。

 目をみはったのは増田、公家の力強いバッティング。タイミングの取り方に工夫がある増田に対して、公家は反応のよさで対応している印象がある。リストワークのよさから低め全般に強さがあることはわかるが、3回の3ランはレフトスタンド一直線の迫力で、度肝を抜かれた。2回戦の履正社寺島 成輝との対決が今から楽しみだ。

(文=小関順二)

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