ストレートの伸びとコントロールを見せつけた山崎颯一郎

山崎颯一郎(敦賀気比)

 髙田 萌生創志学園3年)と並ぶ今大会屈指の本格派右腕、山﨑 颯一郎敦賀気比3年)のピッチングに注目が集まった。ストレートの最速は高田の146キロに対して143キロと平凡だが、130キロ台中盤でも低めに糸を引いたように伸びていく球筋は高田以上だった。

 投げ始めからボールがキャッチャーミットに到達するまでのタイムは高田が1.8秒前後、山崎は2.0秒前後。0.2秒の差はスポーツの世界では小さくない。100メートル競走なら9.8秒と10.0秒の差である。上半身の強さで投げるタイプは速くなる傾向があり、下半身でリードするタイプは遅くなる傾向がある。もちろん前者は高田で、後者は山崎である。この0.2秒の差が低めの伸びの差となって表れていることは間違いない。

 ストレートの話ばかりになっているのは、この日の山崎が非常に多くのストレートを投げていたからだ。前日の高田が104球中53球だったのに対し(ストレート率51%)、山崎は127球中86球で、ストレート率は67.7%。投げ合った青森山田堀岡 隼人(3年)は106球中62球でストレート率は58.5%。これも低くない数字である。

 これほどストレートを多投しても強豪の青森山田が4安打、完封されたのは、ストレートが内・外角にきちんとコントロールされていたからだ。1、2回は外角主体だった。それが3回以降、内・外角に散らし、球速も±5キロくらいで緩急をつけて丁寧に高低を突いた。

 最大のピンチは内野安打と四球で無死一、二塁になった6回表。この場面ではまず2番江口 裕道(3年)を全球ストレートで送りバント失敗に打ち取った。2、3球目でもバントをファールさせると、4球目のバントがキャッチャー前に転がり、井戸川 龍也(3年)は躊躇なく三塁に送球して二塁走者を三封。ストレートだけでバントを3回失敗させるというのは至難の業と言っていい。それだけストレートにキレがあった。

 1死一、二塁にしたあと3番村山 直也(3年)には初球スライダーのあと3球ストレートを続けて空振り三振、4番三森 大貴(3年)には初球スライダーのあと3球ストレートを続け、最後に113キロのカーブを投げて空振りの三振に仕留めている。三森にすれば前の打席でも6球中5球がストレートだったので(空振りの三振)、この打席ではストレートのイメージしかなかったと思う。最後の113キロのカーブに対してはなす術もなかった。

 青森山田は好チームだった。投手は先発した堀岡、攻撃陣は3番村山、4番三森がチームの中心になり、昨年の覇者にして、新チームになっても強さを持続している敦賀気比に一歩もひけを取らず立ち向かった。堀岡はこの日最速の141キロのストレートを押し立て、変化球は斜めに切れ込んでくるスライダーが絶品のキレ味で、優勝候補を3安打、1失点に抑え込んだ。山崎に比べると外角球が多く、内角球がもっと多ければスライダーの威力はさらに増したと思うが、その雄姿は夏に見せてくれると思う。

(文=小関 順二

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