中京大中京の3年生たちが期待する長谷部銀次が完投勝利!

長谷部銀次(中京大中京)

 「3年生が長谷部を国体で一皮剥けさせたいので、ベンチ入りさせてくださいということで連れてきています」と語る中京大中京の高橋源一郎監督。鳥羽戦でマウンドに登った長谷部 銀次(2年)は3年生も、首脳陣も高く評価している投手。すらっとした長身。手足が長く、そのリーチの長さを生かした角度ある速球、カーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーションが嵌ったときは簡単に打ち崩せない投手だ。

 だが立ち上がり、ボールが高めに浮く傾向があり、そこを狙われて痛打されることがあり、新チームでは任された試合は殆どがノックアウトだという。これを見て、3年生が動き出した。そして高橋監督も「卒業まで1人前にしてくれ!」と頼み込んだところから国体帯同が決まった。

 この国体の経験は長谷部を成長させる大きな機会となった。国体は12チームすべてが同じ宿舎。そこで他校の選手たちと交流を深めるのだが、長谷部は敦賀気比の主将・篠原 涼からいろいろとアドバイスをもらった。
「篠原さんから打者目線だとこういう投手が嫌だとか。あとは気持ちを前面に出す大事さを学びました」
そしてこの試合でも、国体で学んだことが生かされる。1回表、いきなり鳥羽の4番小薗 晋之介(3年)に3ランを浴びてしまう。ここで捕手・伊藤 寛士(3年)がマウンドに駆け寄り、
「お前、せっかくの国体なんだから、もっと楽しんで投げろよ」
と声をかけた。この一声で気を楽にした長谷部は後続の打者を抑えると、打線も奮起し、伊藤がホームランで1点を返すと、さらに内藤の2ランで3対3の同点に追いつく。
 「あの同点劇と伊藤さんのホームランでだいぶ助かりました。またこれまでの自分は打たれ始めるとかっかしてしまうところがあったのですが、何とか落ち着いて投げることができるようになったと思います」
気持ちを冷静に投球。長谷部は左腕から常時130キロ前半(最速136キロ)の直球、スライダー、カーブをストライク先行で組み立て、2回以降は立ち直り、9回裏に4点目を失うが、完投勝利を挙げた。
 最速144キロを誇る長谷部にとってはまだ100の投球ではないかもしれないが、粘り強く投げることは成長した点だろう。長谷部は国体が戻れば新チームとして3位決定戦が控える。そこへ向けて自信になる1勝となっただろう。そしてエースの上野 翔太郎は長谷部に対し、「長谷部が投げないと勝てない投手といわれるような投手に。僕を目指すのではなく、長谷部は長谷部で。自分なりの投手像を築いてほしいです」とエールを送った。
 「追いつくではなく追い越すつもりで取り組んでいきます」と語る長谷部がいつかこの国体が大きかったといわれるようなすごみのあるピッチングを見せられるか。

(文=河嶋 宗一

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