俊足の1番打者徳本が好打・好走塁 4回で勝敗決す

 選抜大会の決勝戦としては1979(昭和54)年以来、35年ぶりの近畿決戦となった。試合は序盤から龍谷大平安ペースで進む。

 まず1回表、1番徳本 健太朗(3年)が2ボール後の3球目スライダーをライト線へ運んだ。
 二塁打と思った打球だが、徳本はまったく足を緩めず躊躇なく二塁ベースを走りすぎ、さらに三塁へ向かって加速する。前日の佐野日大戦の第4打席でも三塁打を放ち、このときの三塁到達タイムが今大会ナンバーワンの11.34秒だったので、徳本なら三塁を狙うだろうと私もストップウォッチのストップボタンを押さなかった。そして三塁ベースにフックスライディングで到達したときのタイムは前日をさらに0.26秒上回る11.08秒。これは相当速く、例年なら確実にプロ・アマを含めても私の計測した中ではトップ3に入るタイムだ。

 この徳本を2番大谷 司(3年)のセカンド内野安打で迎え入れ先制点を挙げた。さらに3番姫野 大成(3年)がバントで送り、そこから四球、四球、死球と履正社の先発・溝田 悠人(2年)が制球難に陥り、押し出しでさらに1点追加した。

 3回にも一死から4番河合泰聖と5番中口大地(ともに3年)が四球で出塁し、二死後に7番石川 拓弥(3年)がライト前タイムリーで履正社を引き離し、完全に主導権を握る。4回には三塁打で出塁した8番髙橋 佑八(3年)を1番徳本がレフト前タイムリーで迎え入れ4点目、ここで勝敗は決したと言っていいだろう。

 ここまでの得点経過の中で目立ったのは徳本の好打と俊足である。打撃面では第1打席の三塁打が前述したように2ボールからのスライダーを打ったもので、第2打席の安打性の左飛が1ボールからのストレートという具合に狙い球を絞った好球必打が目立ち、第3打席のタイムリーは3ボール2ストライク後の高めストレート、第4打席のレフト前ヒットが1ボール2ストライク後の外角低めスライダーの落ち際を叩いたもので、追い込まれてからの対応力の高さがさすがだった。

 脚力は三塁打の11.08秒が絶賛もので、それ以外では4回のタイムリーのあと二盗を成功させ、このときの動作開始から二塁ベース到達までに要したタイムが3.37秒。PL学園時代の前田 健太(現広島 独占インタビュー 【前編】 【後編】)を取材したとき、前田は「PL学園では高校生の二盗に要するタイムを最速3.40秒に設定して投手のクイックと捕手の二塁送球を調整している」と言っていたが、徳本の俊足はPL学園の常識を100分の3秒上回っていたことになる。これは相当凄いことである。

 チームとしての脚力はどうだろう。私が設定した全力疾走の基準「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」をクリアした人数を、試合ごとに履正社と対比してみよう。

        龍谷大平安          履正社
 1回戦  (大島戦)    4人5回  (都立小山台戦)  4人5回
 2回戦  (八戸学院光星戦)2人2回  (駒大苫小牧戦)2人3回
 準々決勝 (桐生第一戦)  3人4回  (福知山成美戦)2人2回
 準決勝  (佐野日大戦)  2人2回  (豊川戦)   3人6回
 決勝   (履正社戦)   3人3回  (龍谷大平安戦)3人5回