小林 洸大選手 (中越)

短評

(選手名鑑より抜粋 2011年06月04日) この試合の注目選手は、何と言っても中越・小林 洸大。序盤こそ苦しんだものの、ソフトバンク・和田の高校時代をほうふつとさせる変則フォームでリズムを作り、終盤の逆転劇につなげた投球術は見事。3つの死球を与えたが、死球を恐れず、インサイドに投げ込む度胸もいい。

寸評

最近著しく隆盛を見せている新潟県。日本文理、新潟明訓に二強時代となっているが、ほかの学校に目を向けていくと素材としては面白みのある選手が多いことに気づく。特に投手の素材の良さはぜひ注目すべきものがある。今回紹介する中越の小林洸大は181センチの長身から振り下すキレのあるストレートを飄々と投げ込むのが印象的だ。投手として大事なテンポの良さ・制球力を大事にする投手でなかなか良い印象を受けた。 左スリークォーター速球のスピードは常時120キロ後半～135キロ前後を計測していた。中々の切れがあり、両サイドの投げ分ける制球力はあり、左打者の懐にしっかりと投げ込めるのが彼の強み。変化球はスライダー、カーブ、スクリューを投げる。ストレートを両サイドに投げ分けながらスライダー、カーブなどで目先を変えながら打たせて取る投球。打者が見えているので、相手打者の狙いを見透かすかのように考えた投球が出来ていた。塁上に出てもただでは倒れない粘り強さは寒さが厳しい冬国で培ったものか。ただエンジンのかかりが遅く、ストレート、変化球ともにコントロールできるのに時間がかかる印象を受けた。立ち上がりに付け込まれると大量失点を喫する危うさもあるだけに立ち上がりに課題を持って取り組んで欲しい。 クイックは1.4秒前後と遅いが、牽制などで目配りをしてランナーを制する。フィールディングの動きは中々良く、身のこなしは悪くない。 (投球フォーム)　 ノーワインドアップ。膝を頭上の近くまで上げていく。左足を一塁方向へ伸ばしていきながら膝の関節を伸ばして柔軟に接地する。右腕のグラブを真っすぐ伸ばして引き込んでいく。しっかりと右胸に抱えこむことができており開きを抑えることができている。左肘を折り畳むようにテークバックを取っていき、テークバックを大きく取っていき、トップを作る。綺麗に回旋することができており、良いタイミングでリリースすることができており、球持ち自体は良い。長い腕から外回りで繰り出し打ち辛さを感じさせるが、じっくり見てみると上半身と下半身をバランスよく使った投球フォームをしており、素質の良さを感じさせる。

将来の可能性

制球力・テンポを大事にした左腕であり、個人的には中々の好投手であると評価する。夏までの課題として ・立ち上がりに気をつける ・変化球のコントロールを磨く ことだろう。夏まで球速の上積みは難しいので、今の投球の完成度を高めて、安定感ある投球を見せられるようになると評価は高まるのではないだろうか。高卒プロタイプではないが、大学・社会人で勝負していける技量・素質はあると判断する。更なる高みを目指して精進してほしい。