増田 珠選手 (横浜)
寸評
今年1月、増田珠のことを高校生ナンバーワン野手として伝えてきた。長打力という点では清宮幸太郎にはかなわないが、走塁、守備、打撃の総合力の高さは増田がずっと上だと評価してきからだ。この1年、増田は、春の県大会の打率.577、2本塁打、12打点。夏の神奈川大会の打率.677、5本塁打、11打点と圧巻の成績を残してきた。代表に選ばれるべき実績を残しているのだ。そんな増田の攻守を振り返っていきたい。 (打撃) スタンスはスクエアスタンス。グリップを肩の位置において、背筋を伸ばして構えている。腰が据わっており、しっかりと両目で投手で見ることができている。このとき、力みがなく、いかにも好打者という雰囲気を醸し出している。 投手の足が下りたところから始動を仕掛けていきながら、小さく足を上げていきながら、踏み込んでいく。トップの動きを見ていくと捕手側方向に引いていきながら、グリップが体の奥に入りすぎずに、引くことができており、インコースに対してもしっかりと左ひじをたたんで振り出すことができている。 増田のスイングはコンパクトで、インパクトまで無駄のないスイング軌道で、どのコースにもしっかりと合わせることができること。この春から本塁打を打てるゾーンが広くなり、今までは外角高めの甘めの変化球だったのだが、内角寄りの直球も本塁打にすることができるようになった。 ボールを捉える能力は、高校生トップレベルで、簡単には三振に倒れない。選球眼も高く、観ていて隙がない。増田が立つと、打ってくれることを期待したくなるのは、増田がこれまで築いてきた実績があるからだ。 現在、日本代表では7番打者を打つことが多い増田だが、首脳陣はもっと重要な打順を増田に任せていいと思う。それだけの重責を担える長打力、巧打力、勝負強さを十分に持っている。そして世界レベルの投手に対応できるのは、増田なのだ。増田の持ち味を消してしまうと、世界一は果てしなく厳しい。 (守備・走塁) これまで高く評価してきた守備・走塁も相変わらずハイレベル。打球に対する反応、また落下地点に到達するまでのスピードは非常に速く、守備力の高さはハイレベル。さらにシートノックからダイレクトの返球を見せており、強肩。また次のプレーを予測した動きを見せたり、センターからは、投手の気を遣った声かけができており、視野が広く、周りの選手のことを考えてプレーができていると感じる。 塁間は4.4秒前後と右打者に換算すると4.1秒前後となかなかの俊足。三塁打のタイムは11秒78と右打者としても速いタイムを記録している。打順は4番がほとんどだったので盗塁は少なかったが、今大会で代表として盗塁ができるようになったところを思う存分見せてほしい。
更新日時:2017.08.30
将来の可能性
これまでの走攻守の総合力、野球に対しての意識の高さを見れば、ドラフト上位(3位以内)で指名される選手ではないだろうか。この世界大会は、さらに評価を高められるチャンスだと思う。 プロ入り後は1年目から二軍のレギュラーで打率.200~280前後は期待していい選手だといえる。増田は使っていくごとに味が出る選手である。そして重要な場面を任せられるだけの精神力の強さがある。ぜひ日本代表でも攻守の中心となってくれることを期待したい。
更新日時:2017.08.30
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