江村 伊吹選手 (北越)

短評

試合レポートから抜粋 　「本当は、川村まで回したくなかったというのが本音です。その前の寺杣の最後の球も微妙だったんで（フルカウントから際どいボールを見逃され四球）。川村に関しては、際どいところついて四球なら、ある程度は想定内。ただ、そこまで抑えられていなかったんで、気持ちを切り替えて抑えに行きました。三針が取れてよかったです」 2点リードで迎えた九回の最後の場面をこう振り返ったのは、北越エースの江村伊吹。一発出れば逆転を許してしまう大事な局面で、インサイドのボール球を振らせ、試合を締めた。そこには1年前の面影はまるでなかった。 　ちょうど1年前、江村が初めて背番号1を付けて臨んだ公式戦。4回戦で対戦した新潟県央工の試合で江村は先発のマウンドに上った。0対2。二点ビハインドで迎えた、七回裏。江村は1つのバント処理のミスから崩れ、一挙5失点。七回コールドの屈辱を味わってしまう。だが、その敗戦を糧に、練習に打ち込み、今では県内ナンバーワン左腕と言われるほど、注目を集める存在になった。 この試合の序盤、思うような投球が出来ず、二回までに2失点と苦しいピッチング。 　「日本文理というのは意識していなかったし、緊張もしていないつもりでした。でも、そう思っていても、体はどこかプレッシャーを感じていたのかもしれません。序盤は変化球でカウントがとれない、真っ直ぐで空振りがとれないで大変でした」 そんなエースの苦しいピッチングを支えたのが、打線による強力な援護だったという。 「自分が点を取られても、味方が取り返してくれる。援護をしっかりしてくれる。それで気持ちが楽になりましたね。」 　「バンドは苦手じゃないんで（笑）。投手陣もしっかり練習してます」と、自らのスクイズを決めたことも中盤以降のテンポのいい投球につながったのだろう。強力日本文理打線に最後まで的を絞らせず、見事完投勝利で、秋の王者に土をつけた。 「日本文理を抑えたことはもちろん自信にはなりますが、ナイスピッチングと言われるとどうかなと思います。まだまだたくさん課題があるので。今日の結果で調子に乗らず、次の試合につなげて準備をしていきたい。目標はもちろん優勝なので」 頼もしいエース左腕が北越を頂点へと導く。