岩崎 翔選手 (静岡)

岩崎 翔

球歴:静岡

都道府県:静岡

ポジション:投手

投打:右 / 左

身長:181.0 cm

体重:76.0 kg

学年:卒業

寸評

 毎年速球派投手を輩出する、静岡高校の伝統を継承する投手。新チーム結成直後はエースナンバーを背負っていたが、肘の故障のため離脱。なんとか最後の夏に、間に合わせてきたとのこと。静岡予選でも、僅か1試合に登板したのみ。そんな彼が、甲子園のマウンドで最後の登板を迎えた。 (投球内容) 肘を壊す前が元々どんなフォームだったのかわからないのですが、かなりテイクバックを小さくした変則気味なフォームです。それでも甲子園では、自己最速である142キロを記録。3年間の思いを、すべてぶつけることができたマウンドではなかったのだろうか。  とにかく細かいことはお構いなしに、どんどん勢いのあるストレートを投げ込んできます。球は、大きくバラつきリリースが安定しませんが、コンスタントに140キロ台を記録。横滑りするスライダーと、縦に沈むフォークのような球を投げ込んできます。その気迫溢れる投球で、習志野打線を1回1/3イニングを完璧に抑えることができました。この経験は、彼のこれからの人生に大いなる財産となって行くはずです。 (投球フォーム)  ランナーがいなくても、セットポジションからいきなりクィック投法でボールを投げ込んできます。テイクバックを小さくし、いきなりボールがピュッと出てくる感覚で、相手のタイミングを狂わせるのが、この投手の持ち味。 <広がる可能性>  上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。そのため見分けの難しいカーブを修得して緩急を効かせるのは、将来的にも難しいフォームです。またフォークのような縦の変化球も投げているのですが、かなり体への負担は少なくありません。肘を痛めたのは、お尻が落とせない割に、縦の変化を使い負担が大きかったことに一つ大きな原因があったのではないのでしょうか。ただ「着地」までは、前にステップさせることで少し時間が稼げており、球速のある速い変化球を増やすことで、投球の幅を広げて行けそうです。 <ボールの支配>  抱えているグラブが、最後ほどけてしまっていて、両サイドの制球が不安定になります。足の甲での押し付けはできているのですが、上下に大きく動く忙しいフォームのために、リリースの場所も不安定で目標が定まりません。もう少し無駄な動きを減らして行かないと、ボールが狙い通りにコントロールすることは厳しいと考えます。打ち難さを重視するあまり、制球が定まらなければ意味がありません。 <故障へのリスク>  先にも述べたように、お尻が一塁側にしっかり落とせないまま縦の変化を使うので、どうしても肘への負担は大きくなります。また重心が沈んでから上がる上下動の激しさがフォームにあり、腕にも角度をつけているので、いろいろと負担の大きなフォームになっています。もう少し動作の無駄を減らしシンプルにしないと、制球だけでなく体にも無理が効かなくなりそうです。 <実戦的な術>  思ったよりは「着地」までの時間は稼げており、小さなテイクバックを取りつつ「開き」も、けして早くなっておりません。そのため打者からは、かなり突然ボールは見えて来る感覚に陥り、ワンテンポ差し込まれやすいわけです。ああ見えて、「球持ち」も悪くなく、ボールは前で放せております。ただもう少し前に「体重移動」ができるようになると、ボールに体重が乗り、球威も加わって来るのではないのでしょうか? (投球フォームのまとめ)  「着地」「球持ち」「開き」などは、際立ってはいませんが悪くはありません。また「体重移動」にも課題はありますが、少しステップが広い影響でしょうが工夫次第では改善も十分期待が持てます。あとは、ロスの大きな動作を小さくし、制球と負担の少ないフォームを追求して行ければ、変則派として異彩を放てるかもしれません。
更新日時:2011.08.22

将来の可能性

  投手に一番必要な闘争心がマウンドから伝わってきますし、腕も強く振り切ることができています。これが、投球の一番の根幹ですから、そういった部分を持ちあわせていることは、これからの将来に大いなるプラスとなって行くはずです。  かなり技術的には、微妙なバランスの上で成り立っているように思えますので、良い指導者のいる環境に進んで欲しいですね。上手く導ければ、変則ながら力強い球も加味した、異彩を放つ投手へと成長できそうです。高校時代の不完全燃焼を、ぜひ次の世界で晴らして頂きたいと願っております。
更新日時:2011.08.22

寸評

 2年秋にエースになりながらも右ひじの故障によって戦線離脱。手術とリハビリを乗り越え、最後の夏に間に合わせた140キロ右腕の投球を振り返っていきたい。 (投球スタイル) 右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ後半を計測し、最速は142キロに到達した。力強い腕の振りから投げ込まれる直球には勢いを感じられ、習志野の打者も差し込まれる打球が目立った。またリリースまでテークバックを隠していく投げ方なので、見辛さも感じるのではないだろうか。ただスムーズなフォームではないので、どこか狂うとコントロールを乱しやすい。  変化球は110キロ前後のスライダー、120キロ前後のフォークを投げている。変化球のキレは平均的で、特筆するものではない。まだ試合に復帰したばかりで投球を組み立てていく段階ではなく、球の勢いで押していくタイプではないだろうか。 (投球フォーム)  セットポジションから入る。左足の引き上げを行わず、いきなり体を沈み込ませてテークバックを隠す動作をおこなう。恐らく出所を見えづらくする意識があるのだろう。左腕のグラブの使い方は上手く、しっかりと畳んで左胸に抱え込むことができている。グラブの引き込みと同時にまた体を浮かして、テークバックを取って、リリースに入る。その時にプレートを押さえつけていた軸足が浮いてしまい、それによって粘っこさが失われ、低めの制球力が失われ、高めに浮く傾向が見られるのだろう。腕の振り自体は力強く、140キロのスピードボールを投げられるだけの資質は感じる。
更新日時:2011.08.11

将来の可能性

 さすが元エースということで140キロを超えるストレートの威力は魅力的。ただ実戦復帰も間もないということでストレートの勢いで押していけるスタイルで、一試合投げ抜くための組み立てが出来る投手には感じなかった。  とはいえ、彼のスタートはここから。怪我がありながらも140キロ台のスピードボールを投げられるまでに回復した彼の根気強さには拍手を送りたい。大学でも十分続けていける投手であり、これからもクローズアップされていく投手だろう。投げ方を見ると特異な投げ方をしているので速球派ではなく、打ち辛さと力強さを兼ね備えた右腕に成長していくのではないだろうか。数年後、甲子園でリリーフとして投げた投手がこんな投手といわれるような活躍を見せることを期待したい。
更新日時:2011.08.11

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