中野 悠佑選手 (大阪桐蔭)

中野 悠佑

球歴:大阪桐蔭

都道府県:大阪

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:178.0 cm

体重:78.0 kg

学年:卒業

寸評

 昨年の選抜で、甲子園のマウンドを経験しました。甲子園では、腕のしなりを生かしたフォームから、MAX140キロを記録。その将来が、期待された投手でした。 (投球内容)  しかし最終学年では故障に見舞われ、最後の夏になんとか間に合ったという感じ。私が観戦した6月の試合では、その球速は130キロ前後で、まだまだといった感じでした。しかし最後の試合となった大阪大会決勝戦では、MAX142キロまで記録。今後の復調予感させるピッチングを、最後に魅せてくれました。 (投球内容)  スリークオーターから繰り出されるストレートは、常時130キロ台後半~MAX142キロを記録。ただこの投手は、あくまでも両サイド・低めを丹念に突いて、打たせて取るのが身上。変化球は、100キロ台のカーブに、120キロ前後の横滑りするスライダーとのコンビネーション。故障の影響なのか?以前のようなフォークかシンカーのような、縦の変化は殆ど見られませんでした。  コーナーにボールを集める制球力はあるのですが、時々ボールがが抜ける時があります。また下級生の時から、投球のメリハリに欠け、打ち込まれると一辺倒になる悪い癖があります。できるだけそうならないように、カーブなどで緩急を効かせようという意識はあるようです。ただマウンドでの間の取り方や外し方などが、あまり上手い選手ではありません。  フィールディングの動きはまずまずで、クィックも1.0秒台で投げ込めるなど素早いです。もう少し刺すための牽制だけでなくても、上手く間を入れるためにも牽制が上手く使えると、一呼吸ついて精神的にも余裕が生まれると思うのですが・・・。 (投球フォーム)  投球フォームも、足を引き上げたときに、それを支える軸足の膝に余裕がなく、地面から直立して立ってしまっています。もう少し膝に余裕があると、投球全体の力みが薄れると思われるだけに残念です。 <広がる可能性>  足を引き上げたときに、比較的高い位置でピンと伸ばせます。そのため、お尻の一塁側への落としは悪く有りません。身体を捻り出すスペースは確保できているので、腕の緩みのないカーブや縦に鋭く落ちるフォークのような球の修得も期待できます。ただそのためには、もう少し体のを捻り出すための時間が必要で、着地までの粘りが欲しいところ。その余裕がないので、自然と腕もスリークオーターになってしまいます。この腕の振りだと、見分けのつかないような腕の振りのカーブや縦の変化を習得するのは、現状厳しいのではないのでしょうか。 <ボールの支配>  グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドへの投げ分けは安定。しかし足の甲での押し付ける時間が短いので、ボールが力を入れると上吊りやすい傾向があります。また「球持ち」も悪くないので、指先まで力を伝えることができ、将来的にもきめ細やかな投球が期待できそうです。 <故障のリスク>  お尻は落とせているのですが、着地の早さが肘への負担を大きくしていたのかもしれません。特にカーブやフォークなどの球種も、結構投げていた投手なので。腕の振りには無理はなく、肩への負担は少ないはず。これから肘を壊さないように、細心の注意を持って取り組んで頂きたいと思います。 <実戦的な術>  「着地」までの粘りのなさが、打者からはタイミングを合わせやすいのでしょう。それでも「球持ち」は平均的で、体の「開き」が早いわけではありません。腕の振りは、投げ終わったあとに体に絡んでいるので、変化球との見分けはつきにくいかと。ただもう少し上手く「体重」を乗せられるようになると、手元までもっと生きた球が行くようになるのではないのでしょうか。
更新日時:2011.09.26

将来の可能性

 よく最後の夏までに、ここまで間に合わせたなと思います。ただあと一歩のところで甲子園を逃したので、その悔しさを糧に更なる精進を期待したいところ。将来的にも高い制球力は期待できそうなので、今後は打ちにくさや嫌らしさをテーマに、更に生きた球が行くようになれば、大学や社会人での活躍も期待できます。今後の復調を、大いに期待したいところです。
更新日時:2011.09.26

寸評

 昨春の選抜では常時140キロを計測し、来年へ期待を持たせた大阪桐蔭中野悠佑。しかし昨秋に腰と右ひじを痛めてしまいしばらく戦列に離れていたが、夏には復活を果たした。2年時を超える成長を見せることはできなかったが、次のステージでの成長に期待を持たせる内容を残すことが出来ただけでも収穫ではないだろうか。 (投球スタイル) ストレート 142キロ 常時135キロ~140キロ スライダー 120キロ前後 縦のスライダー 115キロ前後 カーブ 105キロ前後  ストレートは常時130キロ後半・マックス142キロを計測。2年冬に故障に苦しんでいたことを考えるとよくここまで復調した。故障期間中は徹底としたウエイトと走り込みで体を作っていたが、単調な練習の中でモチベーションを維持してトレーニングを継続させてきた姿勢は評価したい。 見違えるような体つきになり、エンジンの大きいタイからから投じる彼のストレートは球質が重く、手元で押しこんで詰まらせることができる代物。さらに調子を上げていけば、145キロ前後の速球を投げるのも時間の問題といえる。ただ細かなコントロールに欠けており、高めに抜けることも多かった。変化球もスライダー、縦のスライダー、カーブを投げていく。 目に見えて大きく成長した点はないものの、故障に苦しんでいた期間を考えるとここまで復調した努力には拍手を送りたいし、上のレベルでさらに投球のレベルをアップできる可能性を残している。 (クイックタイム・フィールディングなど) 昨春の選抜ではクイックタイムは1.1秒台とかなり速く、クイック面も鍛えられている印象と感じた。牽制も適度に入れて、目配りが出来ている。 (配球パターン) 昨年の選抜を見た時は外角中心にストレートとスライダーのコンビネーション。今も直球中心で、見せ球としてスライダーを混ぜる配球には変わりない。細かなコントロールが欠けており、まだ甘い球が多かった。チェックした試合ではリリーフのみだったので、先発で投げる試合でどんな組み立てを行うかは分からないが、現状は直球中心で見せ球としてスライダー、縦のスライダーを混ぜていく配球ではないだろうか。 (投球フォーム) ワインドアップから始動する。左足を頭の近くまで上げていき、右足は一本足で立つ。真っすぐ立たせることはできているが、もう少しゆったりと足を上げて軸足に体重が乗る感覚で上げることができるようになると尚良い。 左足をショート方向に足を伸ばしていき、重心を下げていき、ややインステップ気味に踏み込んでいく。お尻を落とすことはできており、お尻から先行して体重移動する意識は見られる。 左腕のグラブを真っすぐ伸ばして正対させていき、左胸に抱え込んでいく。左腕のグラブはしっかりと左胸に抱えることができており、使い方は悪くない。テークバックは大きく取っていき、しっかりとトップを作りながらリリースに入る。打者よりで離すことはできているが、やや体から遠ざかる腕の振りになっており、球持ちは優れない。腕の振りの力強さでボールの威力を生み出すタイプだ。 最後のフィニッシュでは右腕を絡みつかせることができており、踏み込み足の膝が開くのをなんとか我慢している。インステップのため腰が詰まり、膝の割れが見えることがあるものの、体重移動は出来ている。 基礎をしっかりと教える大阪桐蔭らしく投球フォームには大きな癖は見当たらず、腕を強く振ることを主眼に置いた投球フォームとなっている。足を上げた時に軸足に体重が乗って、踏み込んだ足の開きを我慢して、ぐっと体重が乗るフィニッシュが出来るようになると更に力強いストレートを投げることができるし、変化球の切れも活きてくるのではないだろうか。
更新日時:2011.09.15

将来の可能性

 最後の夏へ向けて懸命に調整とトレーニングを積み重ねていき、直球の威力、球速を復調させていた姿には拍手を送りたい。高卒プロタイプではないが、大学・社会人でもプレーできる可能性を残すことが出来た。ストレートの球速、球威は上の環境次第では145キロ前後まで速くなっていくことが予想される。課題となる制球力、変化球の切れ、配球には今後も磨きつづけて、速さだけではなく、総合力に優れた右腕に成長を遂げることを期待したい。  最後の夏は押し出し死球で高校野球人生に幕を閉じたが、まだ先への可能性を秘めた右腕だけに再出発して、志を高く持って取り組み、数年後にドラフト候補として注目される投手になることを期待している。
更新日時:2011.09.15

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