磯村 嘉孝選手 (中京大中京)

磯村 嘉孝

球歴:中京大中京

都道府県:愛知

ポジション:捕手

投打:右 / 右

身長:178.0 cm

体重:78.0 kg

学年:卒業

寸評

2010年度のドラフト戦線において、常にプロのスカウト達から高い評価がされてきたのが、この磯村 嘉孝 だ。ただ個人的には、闘志が表に出ず、野球で飯を食ってやろうと言うギラギラしたものが感じられず、プロとしてはどうなのかな?と言う疑問を常に持ってきた。そんな男の最後の夏を振り返ってみたい。 (ディフェンス面)  ガッチリとした重厚な身体付きは、如何にもプロが好みそうな当たりも強そうだ。ミットをしっかり示し、投手に的を絞らせやすい。ミットも下げる癖はないので、ワンバウンド処理などにも立ち後れることはないし、ボールを1球1球しっかり押し込んで捕球できるので、審判からもストライクコールを導きやすい。  フットワークを活かしたり、打球に機敏に反応するようなタイプの捕手ではないが、ベースカバーもしっかりできているし、必要な時はしっかり動く。二塁までのスローイングタイムも、1.95秒ぐらいとまずまず。昨年までは、地肩は強くても動作に無駄が多くロスが多かったところが改善されつつある。  高校生のドラフト候補捕手としては珍しく、しっかり投手に配慮できるタイプの選手。その反面何が何でも自分がと言う強いリーダーシップや、投手にオレについてこい!と言う頼れるタイプの捕手ではない。そのため相手に傾いた試合の流れを食い止めるような存在感はなく、流されるとリードに工夫が無くなったり、上手く間が取れなくなり、一緒にズルズルと悪循環に陥ってしまう脆さが同居している。こと捕手と言うポジション柄、それはどうなのかな?と言うのは、終始彼を見てきて感想だ。 (打撃内容)  格段に選抜時より進化を魅せたのは、打撃フォームにある。選抜からの僅か4ヶ月ぐらの間に、ここまで打撃フォームを改善でき、それを自分のものにしつつあることは驚きに値する。 <構え> ☆☆☆☆  まず後ろ足に重心を預ける構えから、両足にバランス良く体重をかけるスタイルに移行。構えはじめは、腰の沈みが浅いものの、ボールを呼び込む際には、腰がしっかり沈み次の動作に移行しやすくすくなった。何より打席で、自然体でリラックスしてボールを待てるようになったのは大きい。 <仕掛け> 早めの仕掛け  春までは、明らかに始動が遅すぎたのを一気に早めに仕掛けに移動することで、格段に動作に余裕が生まれるようになってきた。今までは、ツボにはまれば長打をと言う出たとこ勝負の打撃だったのが、緩急にも対応しうる幅広い打撃を導くことができるようになったはず。これまでの脆いイメージからは、かなり一遍した感がある。 <下半身> ☆☆☆☆  しっかりベース側にインステップすることで、外の球を強く叩くことができるスタイルです。何より春からの成長は、地面を捉えている時間が短く、完全にレフト方向に引っ張る巻き込み型だった打撃を、長く地面を捉えつつ、インパクトの際に足下がブレないスイングを身につけ、身体の開きが我慢できるようになりました。これによりセンターから右方向への打撃が可能になり、格段に打てる打球の方向が広がりました。 <上半身> ☆☆☆☆  元々打撃の準備段階である「トップ」を作るのが早い選手なので、その良さは残しております。ただボールを捉えるまでのスイング軌道にロスがあったのですが、だいぶ上から叩く意識を徹底させることで、インパクトまで無駄のないスイングができるようになってきました。  それでいて、スイングの弧はしっかり大きさを保ったまま、フォロースルーまでしっかり振り切ることができる選手です。けしてボールを遠くに運ぶタイプではないのですが、強い打球を導くことができるスイングです。 <軸> ☆☆☆☆  動作が忙しくなくなり、静かに足を降ろせることで、目線のブレ・頭の動きも小さくなりました。自分からボールを追って突っ込んでしまう傾向も、身体の開きが我慢できるようになることで、だいぶ修正されたと思います。軸足にも安定感を感じ、波の少ない打者に変貌したようです。 (打撃のまとめ)  選抜から夏に向けて、劇的にフォームを変えてきました。この勇気と、短期間でその打撃をものにしたセンスは高く評価したいところです。またこの打撃をものにするためには、根本から打撃の意識を変えなければいけなかったはず。それができる柔軟性は、私にとって新たな発見でした。
更新日時:2010.10.03

将来の可能性

夏に向けては、打撃に初めて真剣に向き合った時期だったのではないのでしょうか?これまでは、その潜在能力だけで行っていた打撃を根本から見直し、劇的な変化を魅せてくれました。これにより、上のレベルでも通用するだけの土台ができあがった気が致します。  まだまだ受け身なプレースタイルには不安を感じる部分はあるのですが、やることはしっかりやろうと言う意識が、プレーの端々から伝わって来るようになりました。一つ間違うと、埋没してしまう危険性は拭えませんが、それを補うだけの意識とセンスがある選手であるのは確か。高校生のドラフト候補の捕手としては稀な、捕手的適正を兼ね備えている点も、見逃せません。  本人がプロでやりたいと言う明確なものがあるのならば、高校からプロに入るだけの下地はできたように思えます。あとは、自分の気持ちに素直に向き合って、進路を決めていただきたい。
更新日時:2010.10.03

1 Comment

  1. くり

    2024-03-18 at 9:36 AM

    選抜頑張れ!!!!!!!

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