吉村 貢司郎選手 (日大豊山)
短評
観戦レポートより抜粋(2015年7月15日) 吉村 貢司郎は1回戦の立正大立正戦でストレートの最速が142キロを計測し、一部で話題になった。最速142キロと書くとストレートの速さばかり話題になりがちだが、投球フォームを含めたバランスのよさに特徴がある。 体の開きを抑えたフォームはボールの出所が見えにくいという長所がある。1、2回に都立江戸川打線からストレートで見逃しの三振を2つ奪取しているのはそのよさの現れである。それでも都立江戸川打線は吉村のストレートに照準を合わせた。6回には4番加藤将和(3年)が1ボールからストレートをセンター前に弾き返して先制。7回には1番吉田賢人(2年)が1ストライクから右中間を破る二塁打、2番廣瀬駿平(3年)が3ボール1ストライクから一塁ベースに当る二塁打を放って2点を追加しているが、これも打ったのはストレート。 吉村のストレートはいいことはいいが、それを引き立たせる変化球にムラがある。カーブ、スライダーは曲がりに安定したキレがなく、打者は多くの場合、「変化したらボール球になる」くらいの感覚で見逃していたと思う。正直、もったいないと思う。 この吉村の投球を見て思い出したのが明治大のエース・柳 裕也(3年)。柳が180センチ、吉村が183センチと上背に差があるが、コンパクトなフォームから回転のいいストレートを投げるという部分がよく似ている。柳は吉村ほど(高校と大学の差があるので相対的にという意味で)ストレートに特徴がないので、ボールを内外、高低にバランスよく配する投球術に活路を求めざるを得ないが、吉村にも四隅を突く一定のコントロールが備わっている。これをムラなく常に同じ精度で攻めることができるかどうか、4回戦以降求められる吉村の課題だろう。
更新日時:2015.07.18
短評
観戦レポートより抜粋(2015年7月10日) 日大豊山のエース・吉村 貢司郎(3年)も好投を見せる。吉村は今年の東京都では最も本格派右腕らしい投手。真っ向から振り下ろす直球は、常時130キロ後半~140キロ前半を計測。春では何球程度だったが、この日は最速144キロを2球計測するなど、常時140キロ台の速球を投げるまでにスピードアップ。 今年の東京都の高校生で、コンスタントに140キロ台を出す投手は、田村 孝之介(日大三)、小玉 和樹(佼成学園)しかいない。野手を兼任する田村よりもずっと本物の投手で、小玉以上の縦の角度がある。何より投球フォームが良く、ワインドアップから始動して、バランス良く足を上げて、下半身主導の体重移動から左腕のグラブを斜めに伸ばして開きを抑え、内回りの旋回をしていきながら、しっかりと胸を張り、打者寄りでリリースすることができるバランスが取れたフォーム。将来性は今年の東京都ではトップクラスの素質を秘めた逸材である。 吉村 貢司郎は、10回になっても139キロを計測するなど、2三振を奪い、2失点14奪三振完投勝利を挙げた。 吉村はこの春、強力打線を誇る都立日野に打ち込まれコールド負けを味わった。あの試合では走者を出してからが粘り強かった。不用意にストレートでストライクを取りにいくことはなく、120キロ前後のスライダーで曲りが大きいもの、小さいもの、120キロ台のフォークを織り交ぜながら、横と縦の変化を使う意識が見られた。スピード以外の部分もレベルアップを遂げてきたのだ。春の負けが吉村を変えているのは間違いない。
更新日時:2015.07.10
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