
大瀧 愛斗 (花咲徳栄)
- 寸評
- 今年、走攻守三拍子揃った大型外野手として注目された大瀧 愛斗。春季大会で見たとき、右中間へ次々と鋭い打球を打ち込む姿。さらに颯爽と駆け抜けるベースランニングを見てモノが違う選手と実感させられたが、埼玉大会、甲子園でも活躍を見せ、プロ入りを決めた大瀧愛斗の走攻守に切り込んでいく。
(打撃)
パンチ力ある選手だが、本塁打をガンガン打つタイプではなく、外野手の間を抜く打球を連発し、二塁打、三塁打を量産するタイプ。プロでもアベレージで勝負するタイプとなるだろう。
・構え
スタンスはスクエアスタンスだが、右肩が体の中に入っていて、ややクローズ具気味に構えている選手といえるだろう。打席に立つ位置は捕手よりに立っていて、ボールを引き付けて打っていきたい狙いが見える。
ただ不調が長引くことが多かった選手。春~夏を通してみると、柔軟性というよりも、一点集中の打撃で、最初から硬直せずにボールを呼び込めるかが焦点となるだろう。
・始動
スイングスピードにかなり自信を持っているのか、始動が足が着地したタイミングで、ややすり足気味にタイミングを取っていく。手元でボールを呼び込んで、ストレートか、変化球なのか、スイングのふり幅が変わる。ストレートはレベルスイングで、ややタイミングが遅れても、右中間に打ち返すイメージで、変化球はゆったりと振り幅を大きくして、長打にする傾向がある。
・スイング軌道
トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていきながら、しっかりとバックスイングを取る。その後、肩口から振り下ろすようにして、スイングする。スイング軌道は上からたたきつけるようなスイングで、ダウンスイング気味でボールを捉えることが多い。が、変化球で捉える時だけ、インパクト時にアッパー気味で捉えることができるため、遠くへ飛ばすことができている。
・下半身
踏み込んだ足を見ると、体勢を崩さずに踏ん張ることができている。ただ軸足が崩れやすく、下半身が崩れた状態になりやすいのが気がかりといえる。
・フォロスルー・軸など
軸を見ると長打を打っている時は、なかなか崩さずに打ち返すことができており、安定感はある。
木製バットへ向けて
木製バットの練習はすぐに行っているようで、木製バットで打てるスイングに変えている。インタビューを抜粋すると、
「Vの字を描くように振って、ボールに逆スピンをかけて飛ばすんですけれど、木製のバットで同じ事をやるとファウルかゴロになってしまうんです。だから、岩井先生には『きちんと体重移動をして、バットのヘッドを返しながら、ボールを運ぶように打ちなさい』
国体の試合後、話を聞くと、だんだんそれができるようになってボールを飛ばすことができているようなので、実戦を交えてどう変わっているか。注目してみたい。
(守備・走塁)
一歩目は速く、東海大相模戦でスーパープレーを見せたように打球勘は良く、プロの指導が加われば、センター、ライトを守れる下地は十二分にありそうだ。肩はなかなかの強肩だが、まだスローイングの乱れがあり、重点的に鍛えていきたいところ。
颯爽と駆け抜けるベースランニングを見ると、非常に速いように見えるのだが、突出としたタイムを計測をしているわけではない。打順柄、あまり盗塁はしていないので、プロで走塁をウリことが必要となったとき、本人が意識して盗塁できる選手となれるか。 - 将来の可能性
- プロで最もウリになるのは守備範囲の広い守備となるだろう。逆にプロに入ってしばらく苦しみそうなのが、打撃。だが見ていると、ヘッドスピードも非常に速く、強い打球を打てる素質は備わっており、木製バットの対応が慣れて、打撃の柔軟性を見出していければ、活躍する可能性は出てくるだろう。
走攻守ともに基準が高い選手が、プロ選手としてみると、平均的で、ただ何かウリを見出さないと活躍が難しい。だが一つのレベルアップに、しっかりと追求できて、吸収力も高い選手なので、うまく西武の指導が合っていけば、高卒4年目~5年目から一軍に定着できる選手といえるだろう。
木製バットの対応が慣れれば、年間5本~10本は計算できる選手だろう。さらに足も速いので、年間20盗塁前後は狙える技術を身に付けられるか。
それがすべて合致して急成長を果たしたとき、タイプ的には陽岱鋼のような外野手になるのではないだろうか。 - 情報提供・文:2015.12.21 河嶋 宗一
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