
森田 駿哉 (富山商)
- 寸評
- 今年の全国トップレベルの実力を持った左腕といえるだろう。プロには進まず、大学へ進学するが、志高く持って取り組むことが出来れば、4年後には上位24人以内に入る可能性を持った逸材だ。
(投球内容)
ストレート 最速144キロ
常時140キロ~144キロ
スライダー 125キロ
カーブ 100キロ前後
チェンジアップ 125キロ前後
ストレートはコンスタントに140キロ台を計時しており、さらに特に外角へのコントロールもしっかりしており、さらにスピードは速くなっていきそうな予感を漂わせる。まだ身体はさらに鍛えこんでいけば、大きくなりそうで、体力強化によっては、150キロ前後まで速く成る予感を感じさせる。何よりしっかりと腕を振っていて、コントロール出来ているのが素晴らしいところだ。
ストレートより自信に持っているのが、スライダーだ。130キロ前後の高速スライダーはアウトコースギリギリに決まり、左打者は対応に苦労するほど。さらに低めに沈むチェンジアップの落差もあり、右打者に嵌ったときは、右打者も攻略に苦労する。
(クイックタイム・フィールディング)
クイックは1.1秒前後と非常に素早いクイックができており、フィールディングの動きも軽快。牽制も巧みで、投球以外の技術はかなり高いだろう。
(配球)
左打者には基本的に外中心にストレート、スライダーを投げ分ける配球。どちらもコントロールできるが、自信を持っているのはスライダー。いつでもストライクが奪えるコントロールの良さがあり、フルカウントからでもストライクを奪えるコントロールの良さに驚かされた。
マウンド上を見ても、高校生らしい激しいガッツポーズを見せることなく、淡々と投球を組み立てる投手。立ち上がりはやや悪いが、しっかりと自分の間合いを整えながら、投球を組み立てることが出来ていた。2回戦までは自分のペースで投げ込んでいたが、3回戦ではやや疲労を抱えながらも、チェンジアップを駆使しながら、抑えることが出来ていた。投球に対してはしっかりと考えながら投球ができているといえるだろう。
(投球フォーム)
ランナーがいない時でもセットポジションから始動する。気になったのは歩幅が狭く、やや着地のタイミングが早いこと。そのため打者からすれば、案外、タイミングが取り易いと感じるのではないだろうか。
テークバックは内回りの旋回をしていきながらトップを作り、しっかりと左ひじを上げることができている。さらに右肩の開きを抑えることができており、タイミングが取りづらいように見えるが、やや着地が甘いのが残念。指先にしっかりとボールを伝えることが出来ており、リリース自体は安定している。
始動からフィニッシュまで流れるような投球フォーム。かなり良い感覚でボールを投げることができているので、着地の部分をいじると、メカニズムが狂う可能性があるので、このままでもよいだろう。
大学ではいかに打者のタイミングを外すかについて追求をしながら投球フォームのメカニズムを自ら構築してほしい。 - 将来の可能性
- 春季北信越大会で見た時と比べると、投球の幅は広がっており、着実に成長した姿が見られる。投手としてのポテンシャルの高さ、投球の総合力、投球以外の技術の高さ、好不調関係なく試合を作れる能力、常に力を発揮出来る調整力といい、2014年度の高校生左腕では3本の指に入る逸材だった。
ドラフト志望届を提出した左腕と比べても知名度、実力は上と評価しており、高校生左腕の需要の高さを考えれば上位指名されていてもおかしくない投手だ。
大学4年間で、いかにモチベーションを見失わずに取り組むことが出来るか。今から23歳の時に、NPBから指名されたと仮定して、1年目からどれだけのイニングを投げて、どれだけの勝ち星を挙げて、防御率は何点台に収められる投手になるためにどんな投手になるべきかを追求しながら取り組むことが必要ではないだろうか。
投球内容を見ると総合力の高さを感じるが、実際にコメントを聞く限り、もう少し投球について深く追求をしていってほしいと感じた。4年間、心身ともに成長した姿を見せてほしい。 - 情報提供・文:2014.12.09 河嶋 宗一
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