荒木 雄哉選手 (清峰)
寸評
2012年度の清峰のエースとして期待されるのが、左腕の荒木 雄哉。ポンポンとストライクを先行させ、自分の有利な状況に相手を追い込んでゆくのが、この投手の持ち味。 (投球内容) 少し横手投げのように、前に体を倒すような感じのフォームながら、腕はしっかり引き上げられて投げ込んで来る。球速は、120~126キロ程度であり、実際その球も、キレや伸びはあまり感じさせる球ではない。それでもストライクカウントを先行させるので、相手打者はどうしても彼のペースに引き込まれる。そうやってポンポンと相手を追い込んで打ち気に早るところを、110キロ台のカーブとスライダーの中間のような曲がりながら落ちる変化球で、相手を翻弄して来る。 正直あまり細かいコントロールはないが、ストライクゾーンにボールを集められるのが強み。間を意識してじっくりというよりも、軽快にテンポよく相手に考えさせないで投げ込むリズミカルな投球が持ち味となる。ただフィールディングやクィックなど、投球以外の部分はまだまだで、これから、いろいろと学ばないとイケないことも多そうだ。 (投球フォーム) <広がる可能性> 引き上げた足は、比較的高い位置で伸ばされています。そのためお尻の落としは悪くはないのですが、「着地」までの粘りがなく、体を捻り出すだけの時間が足りません。これでは、カーブのような球をしっかり曲げることもできなければ、フォークのような縦に鋭く落ちる変化も難しいでしょう。現状は、スライダーやチェンジアップなど曲がりな小さな変化球を中心に、球速のある変化で投球を広げることになりそうです。 <ボールの支配> グラブの抱えも最後に解けてしまっていて、両サイドの制球もアバウトです。足の甲の押し付けもできているのですが、その時間が極めて短いです。ボールは高めにうきませんが、下半身のエネルギー伝達がしっかりできているのかには疑問が残ります。腕を外回りに回旋させてブンと振って来るフォームなので、「球持ち」が浅く指先まで力が伝えられません。将来的にも、きめ細やかな投球は期待できない感じです。 <故障のリスク> 体が横回転なので、無理に肘を高く上げようしなくても好いと思います。そのほうが、腕の回旋がスムーズになり負担は少なそうです。いっそ特徴をより出すためには、サイドハンドにするか、かなりそれに近いスリークオーターで好いのではないのでしょうか。 <実戦的な術> 「着地」までの粘りに欠けるので、打者としてはタイミングを合わせやすいです。ただ「開き」自体は、早すぎることはありません。腕は振れているので、体には絡んできています。しかし「体重移動」が上手くできていないので、ボールが打者の手元まで来ません。
更新日時:2011.09.04
将来の可能性
そこそこ投球を組み立てるまとまりこそありますが、ボールの勢いや総合力では、まだまだ物足りないものがあります。新チーム結成直後のチームや春先間もないチーム相手ならば、この投球でも誤魔化しがききますが、打撃が成長してくる夏場では苦しいはず。甲子園を目指すのならば、投球フォーム含めて大きくいじる必要があると考えます。 自分が、コントロールで勝負するのか?打ちにくさを追求するのか?総合力で勝負してゆくのか、いろいろな選択肢があると思います。まずは明確なイメージを持って、それを為すためには、どのようなことをしてばいいのか考え、来夏を目標に自分の形を構築して行って欲しいと思います。最後の夏には、いったいどんな選手になっているのか、個人的には興味があるところです。
更新日時:2011.09.04
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