安村 大樹選手 (久米島)

寸評

（フォーム） ノーワインドアップから足をゆっくり上げ軽く溜めます。膝に余裕がありリフトアップ時のバランスは良いのですが、もう少し軸足を伸ばしても良いかなと思います。 膝やつま先もショート方向に向くなど捻ることを意識していますが、左足はあまり伸ばさないのでお尻の落としはあまりありません。テイクバックを大きめにとりオーバーから投げ込んできます。 腕の振りに関しては肘から出ているものの、そこまで鋭角ではないのでアーム式の腕の振りという印象を受けます。しかし、力強く腕を振って投げ込むのは良いところです。 グラブは斜め方向に使っているものの、引き込みが早いので体の開きは結構早いです。しかし、最後までグラブを内に抱えることができているので、投げ終わりのバランスは悪くないです。ただ、ちょっと一塁方向へ流れる傾向がありますね。 踏み込んだ左足も崩れることなくしっかりと地面を捉えているので、体重もボールに乗せることができています。球持ちもまずまずです。 頭の位置もそれほど動かないので投球のバランスは悪くありません。 投球フォーム自体はそれほどバランスとしては悪くないものの、溜めが少なくリズム的にやや単調な印象を受けますし、一番大きな課題としては開きの早さが挙げられるかなと思います。開きが早い分だけ腕を強く振れるという利点もあるのですが、アーム式でもあるのでかなり出どころが見えやすいフォームですね。また、下半身を使えず上体に頼ったフォームとも言えそうです。 こういった点がこれからの課題になってくるのではないでしょうか。ただ、それでもこれほどの球速をマークできるのは背筋がナチュラルに強いからだと思います。 （投球面） 秋に観戦した試合では最速144キロをマークするなど、そのスピード能力には偽りが無かったです。しかし、140キロ前後をマークすることはそれほど多くなく、殆どは130キロ前半でした。ペース配分ができるということの表れだとは思いますが、まだまだ肉体的な強さが足りないのかなと感じます。直球の勢いは確かにかなりのものですが、球質的には球威型のように感じました。 変化球はスライダー・カーブ・チェンジアップでしょうか。変化量はそれほどですが、手元でも曲がりますし直球と上手く組み合わせて使える投手です。 制球は内・外の投げ分けができますし、それほど破綻はありません。ただ、やや高めにくる傾向があります。 直球が主体ではありますが、上手く変化球を織り交ぜることができるので投球センスは悪くないですし、変化球を多く使ってきたかと思えば直球でバンバン押してくるなど、投球に幅がある投手です。 （その他） クイックはあまり上手くありませんが、牽制などはまずまず鋭いです。フィールディングの動きも良く落ち着いて対処しています。 マウンド上でも1年生とは思えないほど、落ち着いてますし自分のペースで投げることができています。マウンド捌きも安定しているので、安心感がある投手ですね。

将来の可能性

小柄で体格には恵まれませんし、比較的体もがっしりとしているのですが、まだまだ肉体的な強さを備えてはいないので体を作っていくことが求められると思います。 また、フォームに課題も多いので修正していって欲しいですね。修正していくことができれば更に球速も上がってくるのではないでしょうか。 ただ、直球に目がいきがちですが、投球が上手い投手でもあり本人も決して直球だけに拘っているわけではないので、変化球を伸ばして総合力を引き上げてくることがこれから求められてくるかなと思います。 順調に力をつけていけば最終学年では全国的にも注目を集める投手になるかもしれません。それほどの器だと思うので期待したいです。