前田 涼太選手 (福知山成美)

寸評

　2014年度の選抜大会では、福知山成美の4番打者として、三試合で打率.462厘とハイアベレージの打率を残しました。その抜群の打球の速さを活かし、全国レベルの打力があることを証明。 　 　（第一印象） 　 　ただ打球が速いだけでなく、上手く体を残して難しい球でもしぶとくセンター前に運ぶ執念みたいなものを感じさせます。 　（守備・走塁面） 　 　一塁までの塁間は、左打者ながら4.6秒台と走力は期待できません。その証に、新チーム結成以来の26試合で1盗塁と、数字の上からも厳しいことがわかります。 　 　三塁手としては、球際でのボール処理や打球への反応に優れ、それなりに上手い感じがしました。特にノーステップで三塁までに矢のような返球ができる強肩は、今大会でも目立つ一人。秋の26試合では失策6個とやや安定感に欠けたようですが、一冬越えてその辺は随分と改善されつつあるのではないのでしょうか。 　 　（打撃内容） 　 　＜構え＞　☆☆☆ 　 　両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを下げて脱力を心がけます。その分腰の据わりが浅いのと、全体のバランスとしてはどうでしょうか？　両目で前を見据える姿勢など、的確にボールを捉えやすい構えでは立てています。 　 　＜始動＞　早め 　 　投手の重心が下るときに動き出す、早めの始動を取り入れています。これは、典型的なアベレージヒッターの打ち方であり、本質的にはそれほど打球を上げるタイプではないのでしょう。 　 　＜下半身＞　☆☆☆☆ 　 　　早めに動き出すので、始動～着地までの「間」はとれています。そのため、速球でも変化球でも幅広く対応。真っ直ぐ踏み出した足元も、開きを我慢して粘れています。そのため外角の厳しい球や、低めの球にも喰らいついてゆくことができます。 　 　＜上半身＞　☆☆☆ 　 　早めに打撃の準備である「トップ」に近い位置にグリップを添え、速い球に立ち後れないようにしています。バットの振り出しは、少し体から離れているのは気になります。それでもバットの先端であるヘッドを立てるようにスイングできるので、広い面でボールを捉えられ打ち損じは少ないタイプではないのでしょうか。 　 　＜軸＞　☆☆☆☆ 　 　足の上げ下げはありますが、それほど目線は上下に動きません。体の開きも我慢出来ていますし、何より軸足に粘りがあるのがこの選手の最大の魅力。 　

将来の可能性

　強肩と粘りと強さを兼ね備えた打撃には、目を見張るものがあります。ドラフト候補云々とかそういった素材ではありませんが、今後も関西の大学あたりで野球を続け、活躍して行ける素材ではないのでしょうか。これからも注目して行きたい、気になる選手でした。