選手名鑑
寸評
島仲 貴寛。黒羽根利規(横浜)、川辺健司(明治大学)といった好捕手を育てた日大藤沢の山本秀明監督が太鼓判を押すキャッチャーだ。まずこの捕手の第一印象はとにかく元気が良いことだ。シートノックでは大きな声を張り上げてから、ボール回しに入る。常に元気よく声を出し、周りの選手たちを引っ張っていく。彼はキャプテンではないものの、扇の要としてチームをまとめていることがシートノックから伺えた。
試合に入ると女房役として投手を支える。ピンチの場面では必ずマウンドにより励ます。それ以外にもさりげなく投手の下によって声をかけ、投手への配慮がしっかりできる捕手だ。山本監督が「捕ってからのスピードは、黒羽根や川辺よりも上」と評するスローイングは確かに素早い。捕球からテークバックに入るまで無駄なく、綺麗なフォームで送球ができている。スローイングタイムは1.8秒~2.0秒をコンスタントに計時しており、まさに実戦的なスローイングができている。また高めに浮くことは少なく、ワンバウンドの送球になっているのは低めへ投げることを意識しているからだろう。
座って構える姿は様になっており、雰囲気を感じさせる。キャッチングについてだが、逸らすことは少ないが、しっかりと受け止めることはなく、捕球したらすぐさまに投手に返し、テンポの良い投球を心掛けているように感じた。
フットワークも軽快で、バックアップも怠らない姿勢も良い。捕手として求められる能力はほぼ満たしており、確かに山本秀明監督が認めたキャッチャーだということを理解できた。
続いては高校通算40本塁打以上を打った打撃について。40本塁打以上の本塁打を打ったとはいえ、本質的には中距離打者。ツボに入ればオーバーフェンスするパワーは十分に持っているが、右、左に打ち返すのが彼の打撃スタイル。技術的な観点でみてみると、春ではスクエアスタンスであったが、夏ではオープンスタンスに変わっていた。インパクトまで無駄のないスイングができているし、ミートセンスは高い。スイングも鋭いし、自分のポイントで打ち返すことができているので、右へも強い当たりを打つことができている。私が観戦した試合でも右中間へ長打を放っていた。甘い球を見逃さない「鋭さ」をあり、選球眼も良く、くさい球には全く手を出さない。守備だけではなく、打撃も優れた選手なのだ。
将来の可能性
今年ドラフト候補と呼ばれるような捕手に比べるとインパクトに欠ける捕手かもしれない。が、キャッチャーとしてのスキルはドラフト候補に挙がっている捕手に比べて負けていない。打撃も基本忠実な打撃ができており、木製バットにいち早く順応できるタイプ。
プレースタイルも「手抜き」をしないスタイルなので、その姿勢を貫くことができれば、大学・社会人でスポットライトを浴びる存在になるだろう。
- 2010 年 8 月
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