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脇本 直人
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脇本 直人(健大高崎)

都道府県:
高校:
学年:
2015 年卒
ポジション:
右翼手
投打:
右/左
身長:
180 cm
体重:
80 kg
データ最終更新日:2014年9月18日

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寸評

 今年、上州のスラッガーと呼ばれ、その名を急浮上させた脇本 直人。甲子園、18U、国体と見てきて、多くのスカウトが「角中勝也2世」と口をそろえる。2012年に首位打者を獲得した角中だが、最大の強みはインコースの捌きで、身体に近いポイントに異常な強さを発揮する。

 また俊足で、非常にベースランニングが速い。ただ守備に課題を残す選手が、脇本はまさにそんな選手で、インコースに強く、ベースランニングも非常に速いのだが、守備に課題を残す。

 2人ともなんとしても生き残っていく根性の強さが感じられる選手で、そういう意味で、脇本にとって似たタイプの先輩がいるのは大きいのではないだろうか。

(打撃)

 打者のタイプとしては中距離打者で、外野の間を抜くことが多く、高校通算本塁打は57本塁打だが、プロではあまり本塁打を打つタイプではないだろう。

 彼は自分の体に近いところに強みを発揮するタイプで、インコースはかなり強い。詰まってでも飛ばす選手だ。木製バットでも難なくさばくことが出来ている。スイングの強さはかなりのモノで、18Uで実戦経験した分、彼は一歩先を行くことができている。

 スタンスはスクエアスタンス。グリップは肩の位置に置いて背筋を伸ばして構えている。腰が据わっており、両目でしっかりと投手を見ることが出来たバランスの良い構えをしている。集中力の高さを感じさせる構えだ。投手の足が着地し、リリースする寸前に始動を仕掛ける。始動の仕掛けは極端に遅く、ギリギリまで手元まで引きつけてノーステップで打ちに行く。この打法は日本人離れした強烈なヘッドスピードに加え、バットを当てる技術がなければ通用しないのだが、脇本の場合、ヘッドスピードの速さは高校生でも高いレベルに到達している。

 ただ木製バットの対応にはやや苦しんでいるところがあり、詰まってあまり前に飛ばないことがあったものの、ようやく芯に当たってきて、鋭い打球を飛ばすことができていた。
 
 再び動作の話に戻ると、トップの動きを見ると捕手側方向へ引いており、グリップが後ろに入りすぎない。トップからインパクトまでスイング軌道を見るとヘッドが下がった状態ではなく、肩口から振り出すように、ロスのないスイングが出来ている。さらにヘッドスピードも非常に速く、無駄を極端に省いた打撃が出来ている。

 そして注目してほしいのが両膝の動き。脇本の場合、踏み込んだ右足の膝が開かず、また目線が突っ込まずにボールを呼び込むことが出来ており、低めの変化球に対しても体が突っ込まずにスイングすることができている。甲子園でも変化球を捉えた当たりでのヒットが多かった。

(守備・走塁)

 彼がイマイチ評価が上がらないのは守備にあるという。実際、18Uで守備練習を見る機会があったが、確かに打球に対しての反応はあまりよくなく、慌ただしい。ドーム球場や屋外でも、あまり風が強くない球場が良いかなと思っていたが、最も判断が難しいQVCマリンフィールドを本拠地に持つ千葉ロッテ。岡田選手など外野守備が上手い選手に徹底的に教え込んでもらって、守備を磨いていくしかないだろう。肩は悪くはなかったが、かといってウリにするほどでもなかった。

 そしてプロの舞台で、最もウリになるであろう走塁は塁間タイム4.00秒、二塁到達タイムが7.90秒、三塁到達が11秒36と優秀なタイムを叩き出しているが、突出としたタイムではない。ただ常に全力疾走を心掛けている選手であることは間違いなく、打力が身につけば、二塁打、三塁打を量産する選手だろう。

 また地方大会で11盗塁を決めた盗塁タイム(投球モーションから二塁に到達するまで)だが、3秒19を計測した。相当な俊足であることは間違いなく、プロでも絶対的な武器になるだろう。当時、それほど盗塁に対して意欲がなかった丸佳浩が2013年は29盗塁、2014年は26盗塁を記録するほどになかったのだから、盗塁技術を深めていけば、30盗塁~50盗塁は狙える選手になるのではないだろうか。

将来の可能性

 打撃についてはノーステップゆえ若干硬さを感じるが、膝の使い方が柔らかい上に、軸も安定し、スイング軌道もコンパクトで、あとは速球に対応できるようにタイミングの取り方を工夫していけば、打率.250~300、5本塁打~10本塁打を打つ選手になっていくのではないだろうか。

 また盗塁数も、全試合出場できる選手になれば、30盗塁~50盗塁は到達できる可能性は持っているが、まずは常に試合出場が出来る打撃、守備を磨いていくことになるだろう。一軍定着は3年目から4年目辺りになることが予想される。

 プロで活躍するには、なんとしてでも活躍をしたいと思う気構えが、プレーから感じられるかなのだが、脇本は試合前のルーティンを見ると、チェックポイントを探りながら、1人で黙々と素振りをしている選手で、ストレッチなども欠かさない。国体は夏の大会が終わってもどれだけ真剣にやっているかの物差しになるのだが、脇本は現役同様、鋭く、真剣な表情で試合に臨んでいた。体つきも緩むことなくさらに鍛え上げている様子を見て、プロでやっていく覚悟を十分に感じられた。

 下位指名だが、そのまま這い上がっていく選手であることは間違いない。これまでのパフォーマンスを見ると何事においても器用にやる選手ではなく、どちらかというと不器用には入る。だが一度掴んだ技術は絶対に手放さなず、大きく強みにしていく選手だ。

 ぜひ高校時代のように1球1球、真剣に行うプレースタイルで、千葉ロッテファンを虜にする活躍を見せてほしい。

情報提供・文:2014.11.22  河嶋 宗一
  • 2014 年 11 月
  • 2014 年 8 月

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