山城 大智選手 (沖縄尚学)
寸評
神宮大会初優勝の沖縄尚学。今年のエース・山城 大智は近年の沖縄尚学の投手では最も将来性が高い投手だ。身体能力の高さ、下半身の柔軟性の高さといい、投球のまとまりといい、最近の沖縄尚学の投手の中では一番将来性のある投手だと評価している。ノーラン・ライアンのような足上げというよりも、センバツで彼を見るときは今後も上の世界で進化が期待できる逸材としてみてほしい投手だ。 (投球内容) 右スリークオーターから投げ込む直球は常時130キロ後半~140キロ前半を計測。甲子園では130キロ中盤~130キロ後半だったことを考えると、スピードアップを実現している。本人、比嘉監督によると納得したストレートがいっていないということだったが、おそらく九州大会で投げていたストレートというのは神宮大会決勝の9回のストレートだったのだろう。三者連続空振り三振を奪ったが、見違えるようなストレートであった。 変化球は120キロ前後のスライダー、100キロ前後のカーブ、120キロ前後のチェンジアップ。両サイドに速球を散らしていきながら、スライダーでカウントを稼ぎ、追い込んでからはチェンジアップ、カーブ。またはコーナーいっぱいにストレート。高めへの釣り球を使いながら抑えている。 内外角を使い分けながら、緩急も使える、高めの釣り球も使える。良い投手だと思う。ただ高め近辺に集まって打たれてしまうのが勿体ないところである。 (投球フォーム) 神宮大会で話題になった山城大智の投球フォーム。小川泰弘のような足の上げ方をしているが、この投手、小川とフォームのメカニズムが根本的に違う。 小川泰弘はあの独特のフォームで気をつけていることはしっかりと体を使い切っていること。小川はあの縦回転の軌道から大きく胸を張って振り下ろす投球フォームにより低めでも伸びるストレート、落ちるフォーク、大きく曲がるスライダーを投げ分けるが、山城は足を上げた後、お尻を落とさずに腰が横回転が強いフォームで、踏み出しから足上げとその後の体重移動と合っていないのだ。テークバックはしっかりと肘が上がって、肘も柔軟に使えて、肩肘の柔らかさといい、強靭な下半身の強さがあり、勿体ない投手である。 彼がバランスを崩しているのは高い足上げによって体が前傾し、体重が乗りきらないフォームになっているのだ。今の横回転気味のフォームを続けるのならば、ノーラン・ライアンの足上げは控えるべきかもしれない。実際に神宮大会では3試合とも3失点以上を喫しているからだ。 もしノーラン・ライアン型のフォームを貫くのであれば、大きくメカニズムを変えるというより、何もかも小川のフォームをコピーした方が良い。足上げ、重心を下げるときの左足の使い方、着地のタイミング、左腕の使い方、胸の張り、テークバック、リリース、体重移動。何もかも真似たほうが良いかもしれない。ただその分、スタミナを消費するフォームなので、この冬は大きな決断を任されるだろう。
更新日時:2013.12.02
将来の可能性
投球術、投球の幅の広さ、速球の速さ、変化球の切れは近年の沖縄尚学の投手の中ではトップクラスで、下半身の柔軟性、強靭さ、肩肘の柔らかさを見ると、さらに速い球を投げられる可能性を持った逸材だ。どんな投手を目指していくか、小川のようにダイナミックなフォームで勝負するか。それとも従来のスリークォータで勝負するか。小川のフォームについてもっと探求して、自分に合う投法を見つけてほしい。独特なフォームの改良なので、選抜まで間に合うかは分からないが、一歩先の世界へ勝負できる投手になるためにいろいろなことにチャレンジしてほしい。来年の選抜も勝てる投手としてチームを上位に導く投手になることを期待している。
更新日時:2013.12.02
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