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高橋 周平

高橋 周平(東海大甲府)

都道府県:
高校:
学年:
2012 年卒
ポジション:
遊撃手
投打:
右/左
身長:
185 cm
体重:
83 kg
データ最終更新日:2013年1月24日

寸評

 昨年からドラフト一位候補として注目され続けてきた高橋 周平。その集大成となる最後の夏。悲願の甲子園出場を目指したが、残念ながら山梨学院に敗れ、一度も甲子園の土を踏めずに終わった。だが彼の実力を高く評価され、AAA代表に選出。主軸として期待された高橋 周平は20打数10安打の打率5割。宿敵・韓国戦で先制となる2ランを放った。ドラフト1位候補だから一番結果を残して当たり前という雰囲気が流れていた中であれほどの実績を残せる勝負強さと打撃技術の高さには高く評価しなければならないだろう。AAA選手権の活躍の裏には高校野球人生初めてとなる試行錯誤があったに違いない。

(打撃)
 
高校野球人生で最も打撃を考えた時期ではなかったではないだろうか。金属で71本塁打を打っていた高橋周平。さすが木製バットに戸惑いがあり、試行錯誤があったようだ。予選リーグの香港戦、パキスタン戦、香港戦では結構強引な打撃が目立ち、ヒットを打っているようでしっかりとミートした打球が少なく、本人も納得していなかったようだ。その感覚を掴んだのは決勝戦の韓国戦だろう。先制ツーランを含む3安打を記録した。最後の決勝戦で最も良い内容を残すところはさすが勝負強さに定評がある男である。


スタンスはスクエアスタンス。グリップは肩の位置に置いて背筋を伸ばして構えている。春季よりも両目を見据えてバランスよく構えるようになり、すっきりとして上手い具合に力が抜けた良い構えになった。

始動の仕掛けが遅くなり、投手の足が完全に着地し始めたところから始動を仕掛けていくスタイルとなった。彼の言葉で言わせれば「体の中で打つというか、ポイントを近くしている」と話す通り、ギリギリまで引き付けて捕手寄りのポイントで打ち返す。長距離打者の打撃スタイルに取り組んでいるように見えた。

足の踏み出しが強烈なインステップになった。恐らく外角の球をしっかりと捌く狙いがあると考えられる。左打者にとって外角の球を捌き、強い打球を打ち返すのは永遠のテーマだ。

でも勿体ないと思うのは強引に引っ張る癖があること。どうしても結果を残したいという焦りがあったのかもしれない。木製バットに合わせてうまくボールに合わせて逆らわずに軽く打ち返していた北川 倫太郎と比べてしまうと力み過ぎでは?と思わせることがあった。強烈なインステップをしているため厳しくインコースを攻められると窮屈になり、打ち返せない脆さもある。個人的には真っすぐ踏み込んで打ち返すことが望ましいと思っている。

彼は逆方向へ強い打球を打てる選手である。今春の山梨大会決勝戦でレフト上段へ持って行った満塁本塁打を打ったのはアマチュアファンの人ならご存知のはずだ。私も春の関東大会を観戦して、引っ張るだけではなく、広角に打ち返せることに評価をしていたからだ。引っ張ることが出来るのも良いが、打ち返せる幅が広がって率を残しやすい。逆方向に強く打ち返せるコツを掴んでほしい。

 彼のスイングスピード・力強さ・パワーは並みの高校生と比べて群を抜いている。インパクトまでロスのないスイングが出来ており、体の近くで振ることが出来ている。踏み込んだ足もしっかりと踏ん張ることができており、軸足もしっかりと押し込んで、下が崩れない形が出来ており、下半身の力をしっかりと伝えている。フォロスルーの位置は低く、長距離打者らしくない。タイプとしては鋭いライナーを放つ中距離打者タイプであることが伺える。それでも打球を飛ばすことが出来ているのは高校生離れした体の強さがあってこそだと思う。

 彼は打撃については拘りを持つ選手になってきたし、それに向けて人並み外れた努力が出来る人間性が右肩上がりの成長曲線を描かせたと思う。

(守備・走塁)
 生で高橋 周平の守備を短期間でこれほど見られる機会は二度とないだろう。彼のショート守備は思いの外悪くないレベルである。プロでショートを守れるかと言ったら難しいが、全くダメというわけではない。彼の良さは前の詰めである。春までは打球の正面に入り込んで、堅実にボールを処理するスタイル。決して悪くないのことだが、プロの場合ではそれがワンテンポ遅れることになる。彼の場合、リストの強さと肩の強さで補っていた部分があったが、プロはそれを逃してくれないのである。

 AAAアジア選手権では待って取る形から前へ詰めて処理するスタイルに変わろうとしていた。その守備はリスクが付きまとうが、方向性は間違っていない。アジア選手権で見せたショート前の打球を猛然とダッシュして、抜群の強肩で刺したプレーは見事であった。ボールに向かってとにかく前進していく姿勢は俊足打者が多くなるプロでは重要なこと。身のこなしはショート向きではないし、機知が富んだプレースタイルをするわけではないので、個人的にはサード向きではないだろうか。ただ彼の前向きに取り組み、向上していく姿勢を見るとショートとして鍛えさせたいものはある。新たに褒めたい事は一つ。彼は投手の声かけのタイミングが上手い。場面場面ごとにしっかりと投手に声をかけ、AAA選手権の決勝戦で9回二死になったところでも吉永 健太朗の駆け寄って声をかけていた。機転が利く男であり、AAA選手権はブラスバンドがないため選手の声が良く聞こえる。高橋 周平はポイントとなるところでしっかりと選手たちに声をかけているのだ。声出し屋ではないが、存在感を示し、自分勝手なプレーをせずにしっかりと気配りが出来る男になっていて、妙に感心してしまった。

 彼のもっとも苦手とするのは走塁である。塁間タイムは4.2秒~4.4秒前後で基準を下回るタイムになることもある。長打を打った時のタイムを図ってもあまり速いタイムではないのだ。彼はミスもするし、引っ掛かりやすい。状況を踏まえた走塁は彼には出来ない。足の遅さではない。意識の問題である。彼は打撃にはかなりの拘りがあって、守備もようやく意識を持つようになって、かなりの上達が見られた。でも走塁の意識はまだ低く、相手の隙を伺ってこういうプレーをしようという意識はない。彼の向上心の高さならば克服していく可能性はある。彼は自分のためよりも周りが要求するハードルの上へ行こうとする予感があるのだ。


将来の可能性

春に下したドラフト1位候補・5年後に一軍のレギュラーという評価は変わりない。ただ木製バットで国際大会を経験したことで野球自体を深く考えるきっかけになったのではないだろうか。

今までの取材とプレースタイルを通して、高橋 周平は打撃技術には拘りがあり、準備がしっかりしていながらも、何処か天性で打つ感覚の選手のように思えた。配球をじっくりと待ったりすることはなく、来た球を打ち返すプレースタイル。それは打撃だけではなく、プレー全体につながって感じはあったが、この1年で攻守の意識は変わってきた。しかしまだ変わっていないのは走塁だった。足を売りにするタイプではないのははっきりしている。相手の隙をついて崩す走塁は足の遅い選手でも可能なことだ。走塁については勘が優れた走塁は一度も見たことはない。

彼がプロのレギュラーになるためにはただ打ったり、守ったりするだけではない。相手を見て、勝つためには、数字を残す為には何をすればいいかを探求していく姿勢がプロで活躍するカギとなる。彼は自分の最大限のプレーをする努力と準備は素晴らしい選手だが、まだ相手や状況を見て、どんなプレーをすればいいかを考える選手ではないと思うところがある。しっかりとベクトルを向けさせる指導者の存在が必要であろう。向上心の強い姿勢を持った彼ならば1年経てば変わってくると思う。そこに気づく時間が早まり、プレーで実践に出来るようになれば一軍のレギュラーになるのも早くなる。
 
 ドラフト1位候補として期待をかけられ、結果を残し続けるのは彼にとって重圧だっただろう。関東大会AAA選手権と群を抜いたパフォーマンスを見せて、周囲が要求する高いハードルに応え続けた高橋周平の勝負強さは間違いなく今年のドラフト候補生でも3本の指に入るものがある。

今年のプロ志望届けを出した高校生野手の中では主軸選手として育てたいと思わせる選手。プロ生活でも強い向上心を持って取り組み、プロでも世代を代表するプレーヤーになることを望んでいる。

情報提供・文:2011.10.26  河嶋 宗一

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