
多和田 真三郎 (中部商)
- 寸評
- 私の中では、秋時点では沖縄で一番の投手と思う。
強豪の中部商で今春の時点で、番号こそ10番だったものの、大事な試合で先発を任されるなど信頼もされ、しっかりと試合を作れる能力があります。経験という点でも十分なものがあります。肉体的なポテンシャルの高さも備えており今後どのような成長を遂げていくのか非常に楽しみな存在です。
フォームは、セットポジションから投げる投手でゆったりと足を上げて立ちます。軸足で立つ姿もバランスが良く無駄な力が入っていません。
その後お尻をしっかりと落とし足をゆっくりと動かしながら体重移動を行い、左足は軽く曲げて使いながら着地してするタイプです。
グラブの手は斜めに使いしっかりと体をリードしてきます。体の開きも抑えており出所も見えづらいでしょう。
ここから彼の体の柔らかさを表している部分で、沈み込みが深く踏み込み幅が大きく、それでいて重心が低く軸足である右足の膝に土が付くほどです。また踏み込んだ左足の膝が胸に付くほど腰を曲げてリリース。スリークウォーターのやや上くらいの角度から投げ込み、肘の角度もしっかりと鋭角に使えており、やや顎が上がっているものの最後まで捕手をしっかりと見て投げ込んできます。グラブの抱えもしっかりと出来ており体の軸もあまりぶれてはおらず投球終わりのバランスも良いです。腕もしっかりと体に巻きつき、その振りも大きな負担を感じさせません。
フォーム自体としてはバランスは良いものの、足腰に負担が大きそうな印象を受けます。そういった部分のケアをしっかりとして欲しいです。
彼の良さは何と言っても肩関節や股関節などが非常に柔らかいことです。また手足も長いので投手をすることに向いている体型だと思います。
しなやかさを感じさせる腕の振りから投げられる直球は、そこまで力感を感じはしないものの常時130中盤をマークし、試合終盤でも衰えません。走者を背負う場面などでは力を入れて投げてくるのでその伸びが普段とはまた違ってきます。
変化球はスライダー・カットボール・スローカーブ・チェンジアップを駆使してきます。決め球はスライダーですが、どれも制球とキレ良く扱え投球を組み立てます。基本的には直球とスローカーブを主体にし状況に応じて組み立ててきます。
制球も安定していて安心して見ていられるタイプですし、メリハリもつけることが出来るので非常に落ち着いた投球という感じです。
マウンド捌きも経験豊富なこともあり洗練されて自分のリズムを持って投げてきます。牽制などもまずまず上手く、フィールディングも素早く落ち着いてこなします。
課題としてはクイックが上手くなく、走られるケースが目立ちます。そういったところが技術的な面では一番の課題かなと思います。 - 将来の可能性
- 既に秋時点ではかなりの完成度を誇ります。
直球と変化球もキレ良く制球も安定して組み立てることが出来るうえに、普段は打たせて取りますが、得点圏に走者を背負った時などは三振を狙って奪いますし試合を通してのペース配分、メリハリが身に付いています。
ただし、最初のピンチであっさりと先制されるケースも目立ちちょっと粘り強さに欠ける印象です。それでも終わってみれば0~2点くらいに抑えているので目立ちませんが、これから各チームの打力が上がってくることを考えると、そういった部分が一番の課題だと思います。抑えたような投球をするのではなく、上から見下ろすような圧倒的な投球を見せて欲しいと思います。
肉体的には足腰はまずまず太いですが、上半身は華奢なのでどこまで背筋なりの体幹の強さを身に付けることが出来るかだと思います。一冬越してどこまでそれが身に付いているか楽しみです。ただ、彼の稀有な柔軟性は損なうことがないようにして欲しいですね。
ポテンシャルとしては全国でも屈指ではないかと思うので、どれほどまでに成長するかが楽しみです。 - 情報提供・文:2010.12.02 PN 山原
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