中村 祐介選手 (八女)

寸評

　全国的には無名だが、化ければ4年後に大型左腕と騒がれる可能性を持った逸材ではないだろうか。彼を見たのは久留米商戦。九州大会王者の久留米商に対し、前半まで1失点。6回に同点に追いつかれたが、185センチの長身から降り下ろす速球には大いなる可能性を感じた。 （投球内容） 投手として大事な強く腕を振ることを意識できている。左オーバーから投げ込む直球は135キロ前後。速いときは140キロ近くに達しているのではないだろうか。140キロを計測した左腕と比較しても球威は負けないものがあり、185センチの長いリーチから繰り出すので、相当打ちにくい。ポテンシャルから常時140キロ～145キロに到達する可能性は十分にもっているだろう。 変化球は横に鋭く曲がるスライダー、カーブの2球種が中心。武器は横へ鋭く曲がるスライダーで、なかなか良いスライダーである。ただカーブのキレがゆるく、あまり使えない。カーブよりもチェンジアップなど何か緩い球で勝負出来るといい。 　なぜならば久留米商クラスの打線になるとヒットは打てなくても当てることができるからだ。普通の相手ならば速球中心の投球でねじ伏せることができたかもしれない。ただ久留米商打線は彼の速球に食らいついて、球数を重ねる。球数が重なって球威が落ちてきた6回に同点を許してしまった。配球面で外角より速球が偏り、内角を見せるリードが少なかった。左打者には外角だけではなく、内角を攻められるようなシュート系の変化球、あるいはインコースストレートでもいいので、内外角を投げ分けられるようになるといいだろう。 牽制も鋭く入れるタイプではない。フィールディングの動きは185センチの長身左腕としてはキレのよい動きを見せている。 （投球フォーム） ノーワインドアップから始動し、右足を勢い良く上げていきながら、バランス良く左足を立つ。右足を一塁方向へ伸ばしていきながら、右ひざを勢い良く踏み込んでいく。そのまま着地せず、前膝を送り込んで着地しているので、タイミングは遅らすことはできている。テークバックは内回りの旋回をしていきながら、しっかりと肘を上げて、トップをつくり、胸を張ることができている。右肩のグラブの動きを見ると開きを抑えることができており、出所はみにくい。リリースに入る打者寄りでリリースができている。球持ちが良い上に、さらに強く腕が振ることができているので、打者からすれば相当打ちにくいように感じる。最後のフィニッシュでもしっかりと腕を振り切って、前足に体重が乗った状態でフィニッシュを終えることができており、躍動感溢れる投球フォームである。

将来の可能性

185センチの恵まれた体格を持て余さない威力抜群の速球、キレのあるスライダーは高い将来性を感じ、高卒プロへ行くタイプではないが、大学へ進んで、腕を磨き、実績を積み重ねられるだけの技術的な土台を築くことができれば、いずれはプロの道を切り開くことができる投手。大学野球の魅力は彼のような無名の逸材が光り輝き、ドラフト候補として大きく注目されることだと思っているので、ぜひ彼には大化けして、ドラフト候補に名乗りしてもらいたい。