渡辺 尚輝選手 (常葉菊川)

寸評

　選抜の報徳学園戦で先発、まだ殆ど公式戦での経験がない状況での登板でした。それでも4回を2安打1失点と試合を作り、自分の役割を全うします。上体を強く振れるフォームなので、打者がピュッとワンテンポ差し込まれる傾向に。更にボールが手元で動く球質なので、打者としては捉え難いのではないのでしょうか。 （第一印象） 　下半身が上手く使えないのと、コントロールがアバウトなところが気になります。それでも大舞台でも動じないマウンド度胸と選抜での経験は、彼の将来に大きな影響を及ばすことでしょう。 　 　（投球内容） 　 　球速は130～134キロ程度でしたが、キレと手元で動く独特の球で、バットの芯をずらします。変化球は、縦に割れるカーブとのコンビネーション。上手く緩急が効いて、ピッチングを組み立てていました。けして両サイドの投げ分けが出来ていないわけではないのですが、ボールが上吊ったり、ここぞという時に狙ったところに行かないなど、まだまだ本当のコントロールがありません。それでも試合を作れたマウンド捌きの良さは、彼の大きな財産。 　 ＜長所＞ 　 　最大の良さは、腕を強く振れるところ。これで速球にもキレが出ますし、変化球との見極めも困難に。またグラブは内に抱えられるので、両サイドへの投げ分けは出来ています。 　 ＜課題＞ 　 　足の甲で地面を押し付けられない重心の高いフォームなので、ボールが高めに抜けがち。体重移動も不十分で、ボールにウエートが上手く乗せられません。腕を鋭く振ることでキレは生み出せても、打者の手元まで球威のある球は投げられません。

将来の可能性

　新二年生のこの時期に、全国大会を経験できたことは、彼の高校生活にとって大きな意味を持つと考えられます。春季大会以後どんなピッチングを魅せてくれるのか、楽しみな投手が出て来ました。