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卒業生
山下 斐紹

山下 斐紹(習志野)

都道府県:
高校:
学年:
2011 年卒
ポジション:
捕手
投打:
右/左
身長:
180 cm
体重:
78 kg
データ最終更新日:2010年11月1日

寸評

「勝負師になったやんちゃ坊主」
ここ最近の千葉県で、山下 斐紹ほど強烈なキャラクターを持ったプレーヤーはいないのではないだろうか。彼を見始めたのは1年秋の秋季大会。彼の1年生離れしたパフォーマンスの高さに目を奪われた。糸を引くような強肩と強烈な打球の速さ。そういった凄みだけではなく、先輩投手を気遣うことができる気配りの良さとカバーリングの良さ。私は1年秋の段階でパフォーマンスの高さと意識の高さを兼ね備えた高校生野手は見たことがない。当時、甲子園出場が遠ざかっていた習志野にとっては実に楽しみな捕手が台頭してきたなと胸が躍っていた。
とはいえ、右上がりな成長曲線を描かないのが高校生である。2年選抜~秋に渡って彼のプレーを観てきたが、1年秋を超えるインパクトは見せてくれなかった。このままでは高卒プロは難しいと考えていたのだが、3年春から復調の兆しを見せ、そして3年夏に爆発的な成長を見せてくれた。3年夏の彼の姿は全国を見渡しても数少ない雰囲気のある選手に成長した。
感情の激しさからモノにぶつける行為を見せてしまう場面もあり、捕手として性格を疑う声も多い。確かに感情がコントロールできずに若さが見られる部分も多いが、それだけ捕手失格と烙印を押す決定的な理由にならないだろう。勝負に拘りが見える数少ない選手と見ている。逆境の中で力を発揮するようになり、試合を決める一打も放つことも多かった。少しずつだが、彼は勝負師として才能に目覚めているのではだろうか。山下 斐紹のラストサマーを振り返りたい。

(打撃)
ポイント 低め 特に変化球強し 
苦手な球種 高めのストレート
春では復調の兆しを見せた山下 斐紹。夏では大当たりを見せてくれた。16打数10安打2本塁打11打点。ドラフト候補として厳しいマークをされる中でこのような高い成績を残したのは素晴らしいと思っている。技術面から掘り下げていきたい。
スタンスはスクエアスタンス。グリップを顔の後ろに置いて、どっしりと構える。両目は投手方向に見据えることができているし、以前と比べて構えに力みがなくなった。彼は以前からたびたび構えを変える選手だったが、春からスクエアスタンスで固定した。ようやく自分の合う構えに追いついた。投手の足が着地した寸前に始動を仕掛けていく。足を回しこむように上げて真っ直ぐ踏み出す。トップの動きを見ていくと深くとっていくが、以前よりはグリップが入りすぎることはなくなった。踏み出した足を見ていくと膝が開かずにぎりぎりまでキープできるようになり、股関節の柔軟性があるので、アウトローの変化球を引き付けて打ち返せるようになった。スイングスピードは以前より速くなっただけではなく、迷いがなくなったことで思い切り良くなった。フォロスルーも大きく、弾道の高さが違う。素晴らしかったのは市立柏戦で低めのストレートをバックスクリーンに運んだ打球は久しぶりに鳥肌が立った打球であった。
ようやくではあるが、彼が取り組んできたことが実を結んだシーンであったと思う。

技術的には格段に向上し、変化球と低目への対応力が良くなった。以前なら空振りを繰り返してしまう縦の変化球をしっかりとひきつけ、顔を残して打ち返すことができるようになったのが素晴らしい。技術面が格段に向上したといっても、やはり精神面の成長が大きいと思う。いや技術が伴ったから精神面も充実していると考えたほうがいいか。どんな場面でも動じず、自分のタイミング・スイングができていたことが夏の結果につながったと考える。仕掛けが遅く高めのストレートに振り遅れる傾向があり、プロの投手と対戦する中で如何にプロに対応できるレベルに達することができるか注目される。

(守備)
捕手として求められる能力は満たすことができているキャッチャー。今回は彼の長所と欠点をすべて述べたいと思う。
的が大きく雰囲気はある捕手だ。柔らかいキャッチングを見せていた山下だが、夏ではミットが合っていないのかしっかりと受け止めるキャッチングが少なかった。またワンバウンドの球に対してもハンドリングで捕りにいく傾向があるのは残念。要所ではしっかりと体を使って受け止めるが、横着に捕球する癖がある。ワンバウンド処理の横着さは昨秋から感じていたことだが、彼はプロ入りが狙える好投手と組んでいない経験が大きなハンディになるだろう。こういう癖が見えていてもそれで済まされていたので、プロに入って一番苦労するのはキャッチングだろう。まずはどんな球でもしっかりと受け止めるキャッチングとどんな球でも逸らさないワンバウンド処理が求められてくる。

彼の存在を有名にさせたのは強肩であることは間違いない。コンスタントに1.8秒~1.9秒を計測する地肩の強さとコントロールの良さは全国屈指。ちなみに最高タイムは1.74秒である。これはプロでも勝負できる。その地肩の強さを遺憾なく発揮しているようで、一塁牽制から強肩を見せ付けてアウトを狙ったり、ワンバウンドを前に落としてわざと走らせて刺している。塁上にランナーが出ることは怖いのに、むしろ彼はそれを楽しんでいる。フットワークも素晴らしい。バント処理の時は獣が獲物を狙うごとく出足の良さは必見。松戸国際戦ではランナー二塁からの送りバントを軽快に処理し、フォースアウト。並みの捕手ならば普通の犠牲バントになっているコースを刺したのである。カバーリングの良さも光る。彼はゴロが飛び出せば、すぐに一塁ベンチの近くまで走っている。1年からこのカバーリングは徹底されている。

彼が捕手として疑われる性格面。感情の起伏が激しいタイプなので、それをはっきりと露にするキャッチャー。冷静な捕手が多い中でこれほど感情を露にするキャッチャーも珍しい。逆上してあのような態度を見せては逆に萎縮する投手もいるはず。むしろそれを見せた時は相手に隙を作っていることになるのだ。感情を露にするのは若さが見えてしまうから仕方ないだろう。年齢を重ねて少しずつ大人になっていくことで人間として幅が広くなればそういう声はぴったりと止まるだろう。彼は投手に対しての配慮がないかといえば逆である。ピンチ、勝負所ではしっかりとタイムをかけて投手の下へ駆け寄るし、野手への指示も怠らない。逆上した直後は多少のプレーに影響は出ているが、その後は気持ちを切り替えて冷静にプレーしていたし、精神面の成長は見られるようになった。


(走塁)
塁間タイム4.00秒~4.10秒前後を駆け抜ける俊足であり、ベースランニングから速さを感じる。また塁上に出れば積極的に走る選手だ。キャッチャーはそれほど走力が求められていないが、速く走れることに越したことはない。プロでも走塁技術は磨いて欲しい。

将来の可能性

技術的にも、精神的にも大きく成長を見せた3年の夏。これほど前評判が高く、マークが厳しくなる中で結果を残せる勝負強さは素晴らしい。一時は伸び悩んだ時期はあったとはいえ、ここまでのレベルに到達した彼の取り組みは評価したい。逆境の中で集中して打席に入り、勝ち越し打を打つシーンはヤンチャ坊主ということを忘れさせる。勝負師というのが垣間見えた瞬間であった。これほどのパフォーマンスを示してしまうとソフトバンクに1位指名されるのも妥当である。

ソフトバンクは12球団屈指のアクが強い集団という印象を受ける。ベテラン勢が元気なチームなだけに存在感というのを見せ付けなければ台頭するのは難しい環境であると思っている。キャラが濃い彼ならば、ソフトバンクという環境でも台頭していくのではないかと期待している。
城島が抜けた後、移籍組みに頼っているソフトバンクだが、久しぶりに生え抜きの正捕手として期待できる人材だろう。ぜひプロの舞台でも印象的な活躍を見せ、ソフトバンクの屋台骨を担うキャッチャーになってほしい。

情報提供・文:2011.02.17  河嶋 宗一

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