早坂 響選手 (幕張総合)
中学時代は無名。この春急浮上した幕張総合の148キロ右腕に多数の球団が熱視線!その能力を徹底分析!
今年の千葉県高校野球では、最速151キロ右腕の専大松戸の平野 大地投手(3年)がドラフト上位候補として注目されている。そのドラフト戦線にこの春、急浮上したのが、幕張総合の早坂 響投手(3年)だ。中学時代は捕手だったが、いわゆる無名の選手だった。幕張総合の施設に惹かれて同校へ進学した早坂は、強肩を買われて2年秋から投手に転向した。 176センチ、70キロと細身だが、最速は148キロ。千葉県野球場で行われた12日の春季千葉県大会地区予選の千葉商戦では、最速148キロで平均球速143.9キロと、ほぼ140キロ中盤をマークした。今年の高校生でもそのスピード能力は全国トップクラスだろう。この試合では多数のNPBスカウトが詰めかけたが、まだ追跡していきたいと思わせるパフォーマンスを見せてくれた。 課題も多くあるが、高卒プロを目指せる逸材だといえる。何が凄いのか、何が課題なのかを考えていきたい。 最大の強みは最速148キロ、平均球速143.9キロの速球。短いイニングであれば、145キロ以上がほとんどという圧倒的な平均球速の高さを誇る。その直球を生んでいるのが下半身の使い方。左足を勢いよく上げながら、右足の膝を適度に伸ばし、バランスよく立つことができる。その後、遊撃手方向へ足を伸ばしていきながら、重心を下げていき、着地を行う。本人は「胸郭の使い方」を意識しているというように、踏み出してから、上半身の旋回と軸足を上手く使ってフォームに勢いを与えるのが上手い。 細身ながらも並外れた球速をたたき出せるのは高いフォーム技術にある。幕張総合の柳田監督によると、フォーム指導においては、現在、野球界でも注目されている北川雄介トレーナーに全幅の信頼をおいているようで、投手を始めた昨秋から着々と投手としての土台を固めてきた。 優れた投球フォームから生み出される並外れた速球は申し分ない。ただ課題もある。変化球の引き出しが少ない。現在は130キロ前半のカットボールと125キロ前後のスライダーしかない。この2球種の精度は高く、打者の手元で鋭く曲がるなど、かなりの武器になるが、それしかない。投球では緩急を使ったり、縦変化があったり、球速差をつけるわけではない。真っ直ぐ系の軌道しかないため、打者からすれば、準備がしやすい。 これはある意味仕方がない。そもそも投手を始めたのが、高校2年秋で、投手を遅く始めて、しかもリリーフ中心の投球で出力の高い投球で勝負する投球を磨いてきた。修羅場をくぐり抜けた経験もない。できなくて当然だ。 むしろ県大会を前に、こういう課題がでたのは良かったともいえる。千葉県の強豪校はその対策を当たり前にやる。そういった相手に文句なしの直球でねじ伏せるのか、投球に工夫を入れるのか。そういったところもチェックされるのではないか。 これまで千葉の速球投手を多く見てきたが、メカニズム的には元ロッテの島 孝明投手(東海大市原望洋)を思い出させる。島は高校生としてはかなりの実戦派投手で、スリークオーターから140キロ後半を連発。ハードな曲がりを見せるスライダーや、カーブを投げる投手だった。早坂はこの夏までどのレベルまでいけるかは分からないが、これから戦う相手、そして戦うステージのグレードは上がっていくので、意欲を持ってピッチングを極めて行ってほしい。 投げることは楽しいと語る早坂。ケガなく過ごして、今後の試合ではドラフト指名級の実力を示すことができるか注目していきたい。
更新日時:2023.04.13
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