江口 飛勇選手 (大分商)

3安打猛打賞2打点の活躍も最後は…。大分商の背番号9のリベンジの夏に期待

　また甲子園に帰ってこい、と伝えたくなるような選手だった。大分商（大分）の江口 飛勇外野手（3年）は今センバツの初戦、作新学院（栃木）戦で苦い思い出を作ってしまった。 　4対8で迎えた最終回。チームは猛攻をしかけた。2本の連続適時打で2点を奪い2点差とした。なおも1死一、二塁。江口自身も2本目の適時打を放ち、気をよくして一塁走者となっていた。自分がホームにかえれば同点。チームに奇跡が起きる。味方の打撃を信じて一塁にいたに違いない。 　丸尾 櫂人外野手（3年）が強烈な当たりを左翼線に飛ばした。打球を見ていた江口は「抜ければ長打になって自分がかえれる」と思ったのだろう、思い切り走り、二塁を回ったほどだった。しかし無情にも打球は左翼手に好捕されてしまう。慌てて一塁に戻った江口だったが、二塁ベースを踏むことを忘れてしまった。一度はアウトを宣告されてゲームセットかと思われ、一塁ベース上で呆然としていた。その後、アウトは取り消され、プレーは再開されたが、再び作新学院のアピールプレーで再度アウトの宣告。その後の審判の説明で最初のアウトのコールがふさわしくなかったと謝罪があったが、江口は最後まで呆然としていた。大舞台、甲子園での最終回の反撃ムード。球場全体が異様な空気に包まれていたなか、冷静な判断ができなかったのはやむを得なかったかもしれない。 　バットではチームに貢献していた。5打数3安打2打点。チームで唯一、猛打賞をマークし最多の2打点を挙げた。昨年の秋の公式戦でも5番打者としてチームトップの7試合で9打点を挙げていた。甲子園でもその勝負強さを十分に発揮した。 　最後は悲しい結果に終わったが、この経験は間違いなく江口を大きくするはず。夏の甲子園に戻ってきて、打って、走って、存分にダイヤモンドを駆けめぐってほしい。