森田 大翔選手 (履正社)
夏甲子園初スイングで「怪物」の予感、履正社の4番の集中力に脱帽
<第105回全国高校野球選手権記念大会:履正社6-0鳥取商>◇7日◇1回戦◇甲子園
「怪物」の出現かもしれない。勝手にそんなことを思ってしまった。履正社(大阪)の4番に座った森田 大翔内野手(3年)が、豪快な先制3ランを放って、チームの初戦突破に大きく貢献した。
1回だった。1死一、二塁。打席に入った森田は1球目の外角直球のボールを冷静に見逃した。2球目は同じコースでギリギリのストライク。これも見逃した。そして3球目。内角にきた132キロの速球にバットを振り抜いた。打球は快音を響かせて、高々と舞い上がると左翼席で弾んだ。「決して失投ではなかった」。甲子園が歓声に包まれるなか、マウンド上にいた鳥取商(鳥取)先発の山根 汰三投手(3年)はそう思っていたに違いない。高校生が本塁打するには決して簡単な球ではなかった。
「怪物」の予感がする、第1の理由は、この内角高めの直球をバットの芯でとらえて本塁打にしたことだ。両腕を胸の前でやや伸ばし加減で構え、そこからテークバックに入る。投手からすれば、内角は「弱点」に見える。ましてや高めなら、タイミングが遅れ空振りするはず。バッテリーはそう思っていただろう。そして要求通りに投げた。しかし、森田はいとも簡単に先制3ランにしてみせたのだ。
さらに「怪物」の予感がする理由がある。この本塁打は、ファーストスイングだったことだ。2球目までは外角の直球しか見せられていない。初めて対戦する投手の3球目、初めて内角にきた球を、初めてスイングした。夏の甲子園最初のスイングで、最高のスイングをしてみせた。これはかなりの集中力がいる。内角直球を待っていたとしても、本塁打にできることは簡単なことではない。強打者の条件として「1球で仕留める力」が必要だと思っている。森田はその条件を満たしていることを証明した。
本塁打以外はヒットは打てなかった。しかし、4番はこれでいい。一振りでチームを勝利に導いたのだ。今センバツでは3番打者として安打は放ったが、本塁打はこれが初めて。夏は「4番・森田」のアーチショーが見られるかもしれない。
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