寸評

　今センバツで圧倒的な打力を誇って優勝した大阪桐蔭相手に、初戦で3失点の投球を見せた鳴門（徳島）の左腕・冨田 遼弥投手（3年）。その後、大阪桐蔭が大差で勝ち上がったこともあり、評価は高まり、U-18代表候補の1次候補に選ばれた。今回は冨田について迫っていきたい。

　球速としては常時130キロ前半から後半。速球には角度があり、右打者の内角につけるのが強み。外角にもしっかりと投げ分けられ、120キロ前半のスライダーを膝元にしっかりと攻めることができる。カーブも使いながら、強気に攻めるところと慎重に攻めるところを理解している。

　今年の高校生左腕でこれほどのレベルに達した投手はいない。今年の大阪桐蔭は、冨田と対戦するまで好左腕との対決は、ほとんどといっていいほどなかった。苦しむのは当然だった。

　投球フォームは非常にコンパクトだ。内回りのテークバックから真上から振り下ろす。角度のある直球を投げられる上に、しっかりとコントロールもできる。欠点が少ない投手といえるだろう。

　鳴門OB・河野 竜生投手（日本ハム）の高校時代と比較しても負けていない。河野は最後の夏で140キロ台の速球をマークできていたが、冨田も同じようなルートをたどることができるか注目していきたい。