黒須 大誠選手
寸評
2010年度のシーズンが始まる前から、今年の高校球界の野手の目玉は、吉川 大幾 だと言われてきた。しかし昨夏のプレーからは、私は何故彼がそこまで評価されるのかわからなかった。そして、その答えを見つけるために春季大阪大会にも足を運んでみたが、その答えは見つからなかった。そして迎えた最後の夏、私は再び彼を見に、大阪の地に赴いたのである。 (春からの変化) 春季大阪大会から3ヶ月あまり、その時の詳しいレポートは、下記の寸評を読んで欲しい。今回は、実際に肌で感じてきた、彼の変化についてのみ触れてみたいと思う。 <変化1> 元々遊撃手としては、将来的に厳しいかなと言う印象が強かった。しかし春~夏にかけて、だいぶそれらしくなってきている。けして図抜けてグラブ捌きが柔らかいとか、打球への反応が鋭いとか、スピード感はあるとか、地肩が凄いと言うことはない。 しかしながら球際に強く、身の丈にあったプレーで、ソツがなり、プレーに安定感が出てきた。それでもやはりプロレベルに混ぜてしまうと、遊撃手を担うには物足りない。ただ二塁手あたりならばと言う期待感は抱かせるようになり、以前のように長打力が求められる、三塁や外野ぐらいしかできないと言う印象からは変わってきた。 <変化2> 春までは、そのプレーへの意識が並の高校生であり、高校からプロに入るにはどうなのかな?と言う印象を受けていた。しかしだいぶその辺も変わってきたようで、試合に入って行く形も良くなってきている。それでも何かその所作を見ていると、鋭さや雰囲気と言うものは感じられず、むしろそういったものは、チームメイトの勧野甲輝の方が、よっぽどプンプン臭ってドラフト候補らしく感じられる。ただ厳しくレベルの高い環境で揉まれてきている分、並の高校生と比べれば、プロに混ぜても戸惑いは少ないだろう。
更新日時:2010.10.14
将来の可能性
身体は大きくはないが、ツボにはまればスタンドインできるパンチ力は秘めている。また難しい球に対しても、ボールをはじき返す技術も、高校生としては上位レベルに位置するだろう。 ただこれは、あくまでも高校レベルの話であり、プロに混ぜてしまえば、アベレージ打者でも長距離打者でもないと言う、中途半端な位置づけになる。そういった中、守備や走塁でアピールできるほどのものがあるのか?まだ高い総合力でまとまっていれば好いが、そこまで図抜けたものは感じないと言うのが、彼を見てきた感想だ。 そういった意味では、堂上直倫(中日)内野手のように、プロで生き残る術を見出すには、少し時間が必要なタイプかもしれない。その特徴に欠けた堂上と比べても、この吉川はワンランク劣る印象は否めない。 今回指名リストには入れることにするが、プロで大成するには、まだまだ乗り越えないと行けない壁は多そうだ。この選手、一軍でモノになるには、見た目以上に時間がかかるかもしれない。獲得する球団には、少し長い目で見て頂きたい!
更新日時:2010.10.14