水戸 海人選手 (立花学園)

寸評

　今年の春ごろから注目された俊足系外野手。プロ志望届を提出し、この夏のプレーから攻守を振りかえっていきたい。 (打撃) 　スタンスはスクエアスタンス。グリップを肩の位置に置いて背筋を伸ばして構えている。投手の足が降りたところから始動を仕掛けていき、すり足気味に足を上げて真っすぐ踏み込んでいく。トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていく。 　グリップが身体の奥に入りすぎてしまい、インコースの捌きが窮屈になっている。スイング軌道も弧を描くスイングで、インサイドアウトで振り抜けるスイング軌道ではない。始動の仕掛け自体は遅く、外回りのスイングなため振り遅れやすい。私が見た時は140キロ右腕・秋元 秀明(三浦学苑)だったが、振り遅れてしまっている。打球方向はポイントが遅れたライトフライが多く、トップバッターとしてはあまり適さない打撃スタイルだ。 (守備・走塁) 　 　彼の長所とされる外野守備。打球まで一直線に追い、レフトフライでさえも掻っ攫うほどの走りを見せる。外野守備の守備範囲の広さは評判通り。シートノックから鋭い返球を見せており、守備力ならばかなり高いレベルに到達している。 　走塁については詳しいタイム、技術については分からなかったが、スピードは中々速い選手に見えた。ただ脚力がある選手にしては打撃内容が勿体無い。なんでもかんでもゴロにしろといわない。それだと彼の打撃を小さくしてしまうからだ。ただポイントヶ遅れたフライが多くなっていることを自覚し、内容のある打撃内容を残せば、彼の足も生きていくのではないだろうか。

将来の可能性

　身体能力は確かなモノがあり、守備は高校生として高いレベルに達している。課題は打撃。打席内容を見ると木製バットの対応に時間がかかりそうで、仮にNPB入りしても相当努力して、打撃のコツを掴まないとプロで台頭は難しい。卒業後は独立リーグという道も考えられる。彼ほどの環境ならば、大学進学の選択肢も十分に考えられたし、それでもプロ志望届けを出したということは上の世界に挑戦する精神があったということ。指名されなかったとしても、その気概がずっと持ち続けて、実力を高めてくれることを期待したい。