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清水 優心(九州国際大付)
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寸評
2014年、NPBのスカウトから注目されている捕手は、九州国際大付の清水 優心(ゆうし)である。山口県の周防大島出身で、186センチ85キロの大型捕手である。一発を打つ長打力もあり、そして目に留まるような強肩もある。コンタクトプレーが多い捕手というポジションで、体格が優れているというのは大きなアドバンテージだ。頑強な肉体をして、強肩強打の清水はまさにスカウト好みの逸材だろう。
グラウンドに立った姿を見ると、しっかりとストッキングの裾を上げているからスラリと見えて、動き自体に重苦しさはなく、意外にスマートな選手に見える。ただ他の選手に見比べれば、体格の大きさは一目瞭然だ。プロでも強打の捕手として存在感を示すことができるか、考えてみた。
(打撃)
基本的に引っ張り傾向の打者であるということ。体格的にも素晴らしく、この体格を生かすパワーを身に付ければ、日本ハムでも強打の捕手として存在感を示すことができるが、時間はかかるだろう。
スタンスはスクエアスタンス。グリップは耳の位置に置いてバットを立てて構えており、上体の位置は非常に高い。こういう構えの場合、目線がぶれやすく、外側の球についていけない傾向が強い。
投手の足の下ろしに合わせて左足を高く上げていき、真っ直ぐ踏み込んで打ちに行く。高く上げて、強く踏み込んで、その力をインパクトでしっかりと生かして、鋭い打球を飛ばすことができるパワーを作る。上体を高く構える選手は低めのボールを苦手とする傾向にあるが、清水は両膝をうまく伸縮させながら、ボールを捉えることができる。
トップの動きを見ていくと捕手側方向へぐいっと深く取ることができている。肩口から振り出すようにして、ボールを捉えていくことを意識しているが、福岡大会~甲子園を通してみると、ヘッドが下がり、また波打ったような悪癖が見えるスイングになっていることも少なくない。
踏み込んだ左足は踏ん張ることができているが、左腰の開きを抑えることができておらず、全体的に引っ張り傾向が目立つ打撃となっている。
ボールを飛ばす力は先輩の髙城 俊人(横浜DeNA)とひけをとらないだろう。ただ足を高く上げて、打ちに行く選手は目線の上下動が激しくなり、ミスショットにつながる。目線のブレを抑えられるようになると、さらに確実に捉えられるようになるだろう。
(守備)
さて1.8秒~1.9秒と驚異的なタイムを記録とされるスローイング。スナップ二度図った限りでは2.09秒と2.13秒だった。とはいえスナップを利かせた送球は利かした時のスローイングは1.80秒~1.90秒前後を計測しており、実に鋭い。まだ送球のコントロールは左に流れたり、右に流れたりと不安定なスローイングになることがある。
それは何故かというと下半身を使ったスローイングができていないことがあるのだ。刺せる捕手は捕球してから送球するまでの両脚のステップが綺麗だ。清水の場合、肩の強さに頼って、下半身が綺麗に回らずに投げてしまうので、動作にロスが出てしまうので、タイムが2.09と越えてしまう。せっかくの強肩が勿体ない。
1.8秒~1.9秒台のスローイングが出来るときは、実に小回りが出来たスローイング。良い形のスローイングを叩き込んでほしい。
そしてキャッチングだが、しっかりと投手に示しながら、捕球することができているが、捕球時に流れてしまったりすることが見られる。またワンバウンド処理も、それほど巧い選手ではなく、プロのように鋭い縦の変化球を武器にする投手に対応するのに時間がかかる印象を受けた。
リードを見ると、また打たれ始めると、配球が安易になってしまうこと。プロで活躍する捕手というのは、打ち込まれるときに思考を落ち着かせて、配球を組み立てて凌ぐことができるか。まだ修羅場を潜り抜けた経験が少ないように感じた。無失点で抑えているときは、緩急を使って抑えることができているので、いかに冷静になってプレーすることができるかも重要だ。
(走塁)
塁間タイムは4.6秒前後と左打者に換算すると4.30秒前後。この選手の良いところは、最後まで緩めずにしっかりと走ること。また隙さえあれば、果敢に二塁を狙う姿勢も見えて悪くない。だらだらとやるところはなく、一生懸命、プレーを行うところが魅力である。ただ捕手として大成するのならば、もう少し視野の広さを求めていきたいところ。
将来の可能性
高城のように、高卒1年目からすぐに一軍出場するような完成度を持っているわけではない。技術的にも、意識の面でも、ファームでかなりと鍛える必要があるだろう。
だが高城よりも打撃のポテンシャルは高い選手で、粗削りながらも打てる捕手へ変貌する可能性は秘めている。台頭する時間はかかりそうだが、だが嵌ったときの長打力は見事なものがある。
見事に育てば、一軍でも、年間10本塁打も計算できる強打の捕手へ成長することが出来る逸材だろう。技術的に大きく改善を見せることが出来れば、10本から、15本、20本へ夢を膨らますことも可能性を秘めている。まだ北海道日本ハムファイターズは、捕手の人数が多いわけではなく、1年目から積極的に試合経験を積ませてもらう可能性は十二分に高いだろう。まずは50試合以上の出場を目指して、打率.200前後は残し、本塁打も放つと思うが、急激に打撃成績を伸ばすのは、2年目以降になることだろう。
捕手として1人前になったときは、高校時代では別人の意識の持ち方、技術、思考を持った時ではないだろうか。こういう荒削りな選手が肉体的にも、精神的にも大人へなっていく過程をぜひ見てみたい。ぜひ泥臭さを全面に出して、いろいろなことを吸収していき、北海道日本ハムファイターズの正捕手へ育つことが出来るだろうか。
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