今本 茂雄選手 (静岡商)

今本 茂雄

球歴:静岡商

都道府県:静岡

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:184.0 cm

体重:76.0 kg

学年:卒業

寸評

 投手層が厚い静岡商の中で最もスケールがあるのは今本 茂雄だろう。185センチの長身から振り下ろす角度ある直球とフォークをコンビネーションに三振の山を築く本格派左腕だ。静岡商の投手陣で最も目を惹く投手で、今後の興味が尽きない。  この投手、いわゆる素材型と分類されるかもしれないが、実に度胸が良い。延長14回に及ぶ熱戦となった御殿場西戦では10回に代打として登場。物怖じせずに初球から振り出し、センター前ヒット。これを見て、彼は緊迫した場面でも自分の実力を発揮出来るメンタルの強さがあるだろうと。事実、リリーフとして快投を披露。打者としては3安打1打点を記録した。まだ知名度は低いが、将来的にはプロを狙える大型左腕になり得る逸材だ。    (投球内容)  彼がこの夏、活躍出来たのは制球力が大きく向上したからであろう。威力ある速球をアバウトながらもコントロール出来るようになったことで、大事な場面のリリーフで起用されるようになった。速球は常時135キロ前後は出ていそうで、最速140キロ近い速球派投げ込む事が出来ているだろう。角度・威力を兼ね備えたストレートで、見栄えするものがあった。  コントロールもアバウトながら、ストライクに入れる制球力はあり、コーナーぎりぎりにストライクが決まると、威力あるストレートをテンポ良く投げ込んで、自分のペースでどんどんゲームメイクしていき、イニング以上の三振を奪う事が出来ている。  変化球はスライダー、カーブ、フォーク。スライダーの曲がりは小さく、球速もそれほど速くないので、精度としては高くない。カーブの精度も平均的で、上のレベルでは使えない。一番素晴らしかったのがフォーク。打者の手元で急激に落ちていく代物で、精度の高い変化球である。角度あるストレートとフォークのコンビネーションで三振の山を築く配球だ。  クイックは1.5秒前後とタイム的に遅く、彼の場合、やや上半身に動きが強く、クイックのような動きをすると、着地が思うように行かず、コントロールを乱しやすい。彼はランナーがいても足上げだが、コントロール自体は纏まっているので、打者勝負を重視するならばその方が良いだろう。  (投球フォーム)  ノーワインドアップから始動し、右足を高々と上げていき、左足の膝を適度に曲げてバランス良く立つことが出来ている。右足を一塁方向へ向かっていきながら、少しずつ重心を下げていき、右足の膝をホーム方向へ向かっていきながら伸ばしていき、真っすぐ踏み込んでいる。右ひざが開いてしまっており、右肩の開きが早くなりやすいので、気を付けていきたい。  右腕のグラブを斜めに伸ばしていきながら、右胸に抱え込む。テークバックは内回りの回旋。大型左腕ながらコンパクト且つスムーズな回旋が出来ている。そしてリリース。腕の振りは力強く、余計な引っかかりがなく腕が振れているのが素晴らしい。そのため威力と角度を兼ね備えたストレートを投げ込む事が出来ている。  元々、下半身が使えていなかった投手だからか、最後のフィニッシュで、右ひざが割れてしまっており、体重が乗っていかない。最後までしっかりと踏み込んで、さらに自分のリリースポイントを掴む事が出来るようになると常時140キロ台のストr-絵とをコントロール良く投げられるようになるのではないだろうか。
更新日時:2012.07.29

将来の可能性

 私が予想していたよりも想像以上の内容で、角度ある直球とフォークをコンビネーションにした本格派左腕。能力だけではなく、1点取られたらサヨナラという緊迫した場面で、打者を見下ろすように堂々と投げる度胸の強さも良い。  まだ細かな技術で課題を残すのは、本格的に投手に専念していないのと、緻密な環境でプレーしていないからと考える。ただ彼にはすべてにおいて高次元の技術を習得するよりも、今の武器である角度ある直球のスピード・コントロールのレベルアップ。フォーク以外に空振りが奪える変化球を伸ばしていけば良いのではないだろうか。  この夏見た左腕投手の中ではポテンシャルの大きさではNO,1。将来的にはドラフト上位候補が狙える大型左腕に進化を遂げる事を期待したい。
更新日時:2012.07.29

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